田中将大、2被弾4失点もチームは勝利… 試合作れた要因は“粘り”と“打たれ強さ”
2018/05/10
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ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手が9日(日本時間10日)、本拠地ヤンキー・スタジアムで行われたボストン・レッドソックス戦に先発登板。6回途中4失点で勝敗は付かなかったが、チームは逆転勝利を収め単独首位に浮上した。
6回途中4失点で降板、自身5勝目はお預け
首位攻防3連戦の2戦目。前日に接戦を制し、アメリカン・リーグ東地区首位タイとなったヤンキースは、大事な試合の先発マウンドを田中に託した。田中は、初回を21球を要しながら3者凡退に抑え、直後にアーロン・ジャッジ外野手のタイムリー安打によって1点の援護をもらう。
しかし2回、1死一塁から6番ミッチ・モアランド内野手にカウント2-0とボール先行になった後の90.9マイル(約146キロ)のシンカー(球速と球種は米公式サイト『MLB.com』より)を捉えられ逆転2ラン本塁打を浴びた。3回を無失点に抑えた後、再び打線に逆転してもらった田中は、4回も走者を許しながらも無失点で切り抜ける。5回にアンドリュー・ベニンテンディ外野手にソロ本塁打を浴びたが、前半を5-3とリードしたまま終えた。
ここまで83球を投げている田中は6回、先頭のボガーツに二塁打を浴び、続く打者を二ゴロに打ち取る間に走者は三塁へ進塁。1死三塁となったところで交代を告げられた。2番手のチャド・グリーン投手が犠飛を打たれたため、この日は5回1/3、91球(ストライク60球)を投げて被安打8、与四球2、奪三振3、失点4の成績で、防御率は4.66に上昇。そして、7回もマウンドに登ったグリーンが逆転2ラン本塁打を浴びたことで、それまであった田中の勝ち投手の権利が消滅した。
しかし試合は、ヤンキースが8回にブレッド・ガードナーの2点タイムリー三塁打、ジャッジの2ラン本塁打によって4点を挙げ逆転。そのまま9-6で勝利を収め、8連勝を飾るとともに首位攻防カード勝ち越しを決めた。さらに、本拠地での連勝は11まで伸びている。
貫いた攻めの姿勢、ビッグイニング作らせず
田中は、今季7本目、8本目の本塁打を浴びた。この日1本目は2回のモアランドに対してものだが、今季左打者に許した本塁打はこれが初めて。1死一塁、一塁走者は安打で出塁したザンダー・ボガーツ内野手だった。初球は低めへの90.8マイル(約146キロ)のシンカーでボール、2球目は外高めに抜けた84.2マイル(約135キロ)のスプリットでボール。カウント2-0とボール先行、打者有利の場面とされた中で、3球目のやや内角低めに入った90.9マイル(約146キロ)のシンカーを捉えられて右中間への逆転2ラン本塁打となった。
今季は、この試合前までカウント1-0、2-0、2-1、3-0、3-1とボール先行になった際には直後に計6安打を打たれ、そのうち本塁打だったのは3-1とした時の1本だけ。4月17日(同18日)のマイアミ・マーリンズ戦でJ.T.リアルミュート捕手によって速球を打たれたものだ。ちなみに、前回4月11日(同12日)にレッドソックスと対戦した際に浴びた2本塁打はハンリー・ラミレス、J.D.マルティネス外野手によるものだったが、これらはいずれも初球。それぞれカットボール、シンカーを捉えられてのものだった。
2本目の本塁打は、2点リードの5回1死走者なしの場面で2番のベニンテンディに浴びたものだが、初球外角低めの83.3マイル(約134キロ)のスライダーで見逃しストライクを取った直後に、やや内側に入った83.7マイル(約135キロ)のスライダーを右中間スタンドに運ばれた。今季は、走者なしで本塁打を打たれたケースが3度あり、そのうち1死走者なしだったのは1度だった。
また、この日の田中は、4失点したものの粘り強さが光った。全体で投じた91球でストライクは60球と65.9%を占めたことはもちろん、初回の先頭打者ムーキー・ベッツ外野手に対してカウント2-2となったところから5球連続でストライクを投げ込み、ファールで粘る打者に一歩も譲らなかった。そして直後に緩いカーブを見せてフルカウントとした後の11球目、88.3マイル(約142キロ)のスプリットで空振り三振に仕留めることに成功した。
また、2死からラミレスに対してカウント1-1から再び4球連続でファールで粘られるも、最後は7球目の86.9マイル(約140キロ)のスプリットをホームベース上に落として空振り三振を奪い、またも粘り勝って見せた。
本塁打を打たれた後に続けて失点することもなかった。2回はモアランドに本塁打を打たれた後に2安打され2死一、二塁とピンチになったが、最後は好調のベッツをカウント2-1から87.9マイル(約141キロ)のスプリットで三ゴロに抑えた。5回にベニンテンディに打たれた後も、2者連続で打ち取り最少失点で切り抜けている。ヤンキースの強力打線の援護を受けながら、「打たれ強さ」とも表現できる粘り強い投球でビッグイニングを作らず試合を作れたことは、勝利に繋がった1つの要因と言えるだろう。