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大谷の集客力も「母の日」には通じず? 女性ファンのさらなる増加へ、MLBに求められるマーケティング戦略

2018/05/15

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 ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手が先発登板した13日(日本時間14日)、ミネソタ・ツインズ戦をテレビ観戦して奇異の念を抱いた人は少なくないだろう。選手がピンク色の帽子や靴下を着用し、審判のマスクまでピンク色に染められていた。これはMLBの他の球場でも同様で、「母の日」にちなんだ装いだ。さらにMLBが全米各地に広がる乳がん撲滅運動に参加したためでもあった。
 
 この日、ピンク色が際立ったフィールド以外にある光景が目についた。普段よりも観客席の空席が目立っていた。米公式サイト『MLB.com』によると、エンゼル・スタジアムのこの日の入場者数は3万8029人。今季の同球場平均入場者数3万8833人をわずかに下回っていた。
 
 今季は、大谷フィーバーが集客面に大きく貢献しており、本拠地で登板した4月8日のアスレチックス戦、4月17日のレッドソックス戦はどちらもチケット完売で満員だった。大谷の登板前後、つまり大谷が休みの日は入場者数が大幅に減少していることからも、その影響力の大きさがわかる。
 
 大谷の登板日とその前後の入場者数を比較すると、以下のとおりだ。
 
4月7日(土)対アスレチックス 大谷休み入場者数4万129人
4月8日(日)対アスレチックス 大谷先発登板入場者数4万4742人
 
4月17日(火)対レッドソックス 大谷先発登板 入場者数4万4822人
4月18 日(水)対レッドソックス 大谷休み   入場者数3万4508人
 
 ところが、5月13日は大谷が先発登板したにも関わらず、入場者数は前日の4万117にんから約5%ダウンした。これは大谷人気に陰りが出たというわけではなく、この日が「母の日」だったからだ。
 
 「母の日」に観客数が減少したのはエンゼル・スタジアムだけではない。2013年以来5年連続でメジャーリーグ最多入場者数を誇るドジャー・スタジアムも然り。この日の入場者数は4万4787人で今季平均入場者数4万6633人を下回った。さらに落ち込みが激しかったのはマーリンズで、この日の入場者数はわずか7435人。なんと定員の約20%しか席が埋まらなかった。
 
 ベースボールは米国の国民的スポーツと言われるが、この「母の日」に発生した現象を見ると、まだまだ男性中心のスポーツと言えるだろう。「母の日」に米国人が外出しないわけではなく、「母の日」に家族で出かける場所として、野球場がふさわしい場所だと思われていないのだ。
 
 エンゼル・スタジアムでは「母の日」特別プレゼントとして入場者に特製の帽子を配布し、観客から選ばれた「お母さん」と選手が一緒に入場する演出も行われた。しかし、その効果は残念ながら十分だったとは言い難い。女性に人気がないと、それに男性が釣られるどころか、家族全員が野球場に足を向けなくなってしまう。「カープ女子」ブームで女性ファンを増やした広島東洋カープのマーケティング戦略をメジャーリーグが参考にする日が来るかもしれない。
 
 
文・角谷剛



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