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今季未勝利のダルビッシュ、大型契約1年目ゆえの試行錯誤。苦しみが引き出す爆発力に期待【小宮山悟の眼】

シカゴ・カブスでの1年目のシーズンを迎えたダルビッシュ有投手。開幕から7戦に先発登板し、未だに勝ち星はついていない。6年の大型契約を結んだ右腕に何が起きているのか。

2018/05/16

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長所と短所を見直す“1年目のダルビッシュ”

 今季からシカゴ・カブスに移籍したダルビッシュ有投手。開幕から1カ月余りが経過したが、7戦未勝利と出遅れている。大型契約を結んだ1年目ゆえに注目度が高いが、これは予想していなかった。
 
 ピッチング自体は、良いときと悪いときが明確だ。その原因の解明と改善が鍵になる。
 
 不調の原因の一つとして考えられるのは、シカゴの今年の気温が例年より低いということだ。ダルビッシュには珍しく、長袖のアンダーシャツを着ていたこともある。昨年は7月まで温暖なテキサスで投げていたため、思うようにいかないところもあるのではないか。
 
  そして、最大の理由として考えられるのは、6年という大型契約の影響だ。
 
 ダルビッシュは昨オフ、世界一になるという目標をもってカブスと長期契約を結んだ。この6年という期間を生かして、投球フォームを見直そうと試行錯誤しているのだ。自分の長所短所を見つめなおしている“大型契約1年目のダルビッシュ”と言える。
 
 昨季は球種の癖を見抜かれていると報じられたこともあった。長期契約は、自らの課題に向き合ういい機会なのだ。2年、3年契約という短いスパンでは難しいが、ダルビッシュは6年契約を結んだため、最初の1年を有意義に過ごすことができる。
 
 今季ここまでのダルビッシュの投球を振り返ると、中盤以降につかまっているケースが目立つ。本人に直接尋ねたところ、「下半身に力が入らない」と口にしていた。これも試行錯誤の影響だと思う。
 
 ダルビッシュがスプリングトレーニングの時から試していたのは、“二段モーション”のような投げ方だった。
 
 昨季までのダルビッシュは、軸足に全体重を乗せ、スムーズに打者方向に移動して投球していた。それが今季からは、左足を振り上げてから一呼吸おいていた。リズムを取るために一度止まるというのは悪くないことなのだが、この一呼吸によって微妙なバランスのずれが生じたのではないか。
 
 自分ではタイミングが合っていると思っても、実際は体重の移動が遅れたり、腕の振りが間に合わなかったりする場合もある。それによって、リリースがばらついてコントロールが乱れるのだ。
 
 しかし、前回登板は元のフォームに戻したようだった。自分の中で納得できるものを探しながらベストな状態を模索しているのだろう。元に戻したのは、リズムを優先させたのだと考える。
 
 体調不良によって、故障者リスト(DL)入りしたが、復帰以降にどのようなフォームで投げるのか見ものだ。

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