田中将大“不完全燃焼”の5回72球。被弾、球種…データで見る「逆ジェットコースター投球」
2018/05/16
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序盤に3失点も、徐々に立て直す
ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手が15日(日本時間16日)、敵地ナショナルズ・パークで行われているワシントン・ナショナルズ戦に「8番・投手」として先発したが、5回3失点で降板。今季5勝目は挙げられなかった。
田中の先発登板は今季9試合目で、9日(同10日)の本拠地ヤンキー・スタジアムで行われたボストン・レッドソックス戦以来6日ぶり(中5日)。初回、田中は2死から3番のアンソニー・レンドーン内野手にシンカーを捉えらソロ本塁打を被弾し先制を許してしまう。2回もアンドリュー・スティーブンソン外野手、ペドロ・セベリーノ捕手にタイムリー安打を浴びて2失点を喫し、ヤンキースは序盤で0-3とリードを許す展開になった。
しかし、田中はここから徐々に調子を上げていく。3回を3者凡退に抑えると、1点差に詰め寄った4回も打たせて取る投球で3者凡退。同点に追いついた5回は、タイムリーを打たれたセベリーノを打ち取るなど3人で抑えて、2回1死から11者連続アウトを記録しチームに流れを作る投球を見せた。6回、ヤンキースの攻撃は田中からだったが、打席に向かったのはブレット・ガードナー外野手。田中はここで交代となり、この日は5回72球(ストライク49球)、被安打4、無四球、奪三振2、失点3の成績で防御率を4.73とした。
試合は、6回表のヤンキースの攻撃を終了した時点でスコア3-3の同点。ここで悪天候(降雨)によりサスペンデッドになった。この続きは翌日に繰り越され、この試合終了後に引き続き第2戦が行われる。
2回までに浴びた被弾は今季4本目
田中は5回3失点と投球をまとめた。失点後は3イニング連続で無失点に抑えるなどチームにリズムをもたらす内容だったが、それがあっただけに、やはり初回の先制被弾をはじめ2回までの3失点は悔やまれるところだ。
初回に浴びたソロ本塁打で、田中が今季許した本塁打は9本。9試合の登板で先制を許したのは2度と決して多くはないが、序盤2回までに喫した失点は今季これで計9点。このうち5点は本塁打4本によって生み出されたものである。この日レンドーンに打たれた本塁打はカウント1-1からの3球目のシンカーだったが、このカウントで浴びたのは今季初。ちなみに今季最も本塁打を打たれたカウントは初球、0-1で3本ずつだ。
この日のアウトの内訳は、ゴロアウト7、フライアウト6、奪三振2と打たせて取るスタイル。72球を投じた中、球種の内訳は速球が14球、シンカーが3球、スプリットが26球、スライダーが25球、カーブが4球(球種は米公式サイト『MLB.com』によるもの)。スプリットとスライダーがほぼ同数だが、決め球になったのはスプリット。打ち取ったアウト15個のうちスプリットで取ったものは1三振を含む8個に上った一方で、スライダーで取ったものは3個にとどまった。また、スプリットは各イニング4球以上満遍なく投じたが、スライダーは2回に14球投げた他は5回に5球投げたのが最多と極端だった。
6回表で味方打線が勝ち越せず、今季5勝目はお預けとなった田中。72球での降板、それも徐々に調子が上がってきただけに不完全燃焼な感はあるが、試合も降雨によって同点のままサスペンデッドとなり、個人としてもチームとしても“もやもや”する結末となった。
次戦の登板は、中5日なら21日(同22日)の敵地でのテキサス・レンジャーズ戦。チーム打率は高くないが、今季12本塁打のジョーイ・ギャロ内野手や10本塁打のノマー・マザーラ外野手など一発を放つ力がある若手の強打者がいるだけに注意していきたい。