“優等生”カノーの薬物規定違反 母国ドミニカにも衝撃、現地紙「キャリアにシミ」
2018/05/20
Getty Images
MLBを代表するスタープレーヤーの1人、ロビンソン・カノー内野手(シアトル・マリナーズ)が薬物規定違反により80試合の出場停止処分を受けるというショッキングなニュースは、日本でも大きく報じられたが、カノーの母国ドミニカ共和国でも当然ながらビッグニュースとして扱われている。同国の『リスティン・ディアリオ』紙は16日付の記事で、カノーがドミニカ共和国出身選手として36事例目のドーピング違反者となってしまったと報じている。
多くのスター選手を輩出しているドミニカ共和国だが、同時に多くの選手が禁止薬物に手を染めているという側面も持っている。2005年にアグスティン・モンテロ投手(テキサス・レンジャーズ時代)が10日間の出場停止処分を受けたのを皮切りに、今回のカノーで36件目ということだ。
この処分者リストの中には、2012年のオールスターゲームのMVPであるメルキー・カブレラ外野手(2012年、当時サンフランシスコ・ジャイアンツ)、現役最年長選手として活躍中のバートロ・コローン投手(2012年、当時オークランド・アスレティックス)、本塁打王と打点王にも輝いた経験を持つネルソン・クルーズ外野手(2013年、当時レンジャーズ)、そして通算696本塁打のスラッガー、アレックス・ロドリゲス内野手(2013年、当時ニューヨーク・ヤンキース)など多くのスター選手も含まれている。中には、日本の独立リーグでもプレーしたマニー・ラミレス外野手のように複数回(2009年、2011年)処分を受けている選手もいる。
また、ドミニカ出身選手としては、今シーズンすでにラウディ・リード捕手(ワシントン・ナショナルズ)、ホーヘイ・ボニファシオ外野手(カンザスシティ・ロイヤルズ)、ホーヘイ・ポランコ内野手(ミネソタ・ツインズ)の3選手が80試合の出場停止処分中であり、カノーで4人目となる。この数字は、バイオジェネシス・スキャンダルで大量の処分者を出した2013年を例外とすれば、早くもワーストタイに並ぶものである。
同紙もカノーが「殿堂入りの可能性をすべて満たしていた選手」「スキャンダルとは無縁だった選手」と評しており、その上で「カノーのキャリアに一点のシミができた」と言及している。優等生イメージの強いカノーだっただけに、多くのファンにショックを与えたのは間違いないことだろう。
これまでのキャリアで積み重ねてきたヒットの数は2417本。殿堂入りプレーヤーの階段を着実に登っていただけに、今回の一件はあまりにも大きな”シミ”となってしまった。多くのファンの期待を裏切ったカノーの罪はあまりにも大きい。
文・高橋康光