MLBドラフト会議、現地6月4日にスタート。30球団で指名選手は1200人超、日米で大きく異なる仕組みとは?
2018年メジャーリーグ(MLB)ドラフト会議が6月4~6日(日本時間5~7日)に行われる。3日間にわたり、30球団で合計1200人を超える選手が指名されるこの会議。日本プロ野球(NPB)とは指名人数もさることながら、その制度は大きく異なる。
2018/05/25
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指名が競合しない「完全ウエーバー方式」
MLBのドラフト会議の指名は、各チームが指名順に従って1人ずつ選手を指名していく「完全ウエーバー方式」なので、NPBのように1人の選手が複数チームから競合指名を受けたり、指名権をくじ引きで争ったりすることはない。
つまり、有力選手があるチームに指名された時点で、他のチームは指名するチャンスが消滅する。どの選手をどの段階で指名するかがチーム間の駆け引きとなる。会議中、指名権が回ってきたチームは、4分以内に指名選手を決定する必要がある。
MLBのドラフト会議は1、2巡目まではテレビ中継されるが、その注目度は他のメジャースポーツに比べるとさほど高くない。その背景には、ドラフトで指名された選手が翌年の即戦力となることはほとんどないということに加え、7月に外国籍FAの契約が解禁されるからだ。
近年、有力新人選手の多くが外国籍FA選手である。今季を例に挙げると、開幕前に米公式サイト『MLB.com』で発表された2018年有望株ランキングは、1位が大谷翔平(日本)、2位がロナルド・アクーニャ.Jr(ベネズエラ)だった。いずれもドラフト会議の指名対象外で、この有望株ランキングトップ10のうち、ドラフトで入団した選手は7位のニック・センゼル(2016年全体2位指名、シンシナティ・レッズ傘下)、10位のマイケル・コペック(2014年全体33位指名、シカゴ・カブス傘下)の2人だった。
現行のルールでは外国籍FA選手は16歳で契約可能になる。キューバ、ベネズエラ、ドミニカ共和国など中南米の野球強豪国からMLBに入団する選手の多くは16歳でマイナー契約を結ぶ。4、5年のマイナー経験を経て、20歳前後でメジャーデビューを果たす。
MLB全体で国際化が進む昨今、ドラフト会議はMLB球団に入団するいくつかの入口の1つに過ぎなくなりつつある。
文・角谷剛