MLBドラフト会議、近年の指名上位選手の現在。巨額契約も昇格は狭き門、新人育成は長期計画がメジャー流
MLBのドラフト会議が6月4~6日(日本時間5~7日)に開催される。毎年、30球団で計1200選手以上が指名されるが、ドラフト上位選手がいきなりメジャーの舞台で活躍することはめったにない。近年のドラフト上位指名を受けた選手の現況はどのようになっているのか。
2018/05/27
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ドラフト上位選手でも最初はマイナーリーグへ
MLBでは、ドラフト1巡指名選手であっても最下位の40巡指名であっても、ドラフト指名を受けた選手は入団契約を結ぶとほぼ例外なくマイナーリーグの最下層であるルーキーリーグのチームに送られる。ドラフト会議がシーズン途中の6月に行われるため、新人選手の契約後初年度は、シーズン途中からチームに合流するか夏の間だけ行われるショートリーグに参加するのが通常である。そして翌年からが1シーズンを通してプレイする実質的なデビュー年になる。
2017年新人ドラフトで上位指名を受けた全体順位1~5位までの選手の現況(5月26日現在)は以下の通り。
2017年全体1位
ロイス・ルイス遊撃手(ミネソタ・ツインズ傘下)
右投げ右打ち/カリフォルニア州Jセラ・カソリック高校出身
契約金672万5千米ドル
1A所属。34試合に出場し打率.299、OPS.701
2017年全体2位
ハンター・グリーン投手(シンシナッティ・レッズ傘下)
右投げ右打ち/カリフォルニア州ノートル・ダム高校出身
契約金723万米ドル
1A所属。8試合に登板し、21.1イニング20、0勝3敗、防御率8.44
入団当初は投打二刀流を期待されたが、ルーキーリーグ終了後に投手専念を発表。
2017年全体3位
マッケンジー・ゴア投手(サンディエゴ・パドレス傘下)
左投げ左打ち/ノース・カロライナ州ホワイト・ビル高校出身
契約金670万米ドル
1A所属。3試合に登板し8イニング9失点、0勝1敗、防御率10.13。
2017年全体4位
ブレンダン・マッケイ投手及び一塁手、指名打者(タンパ・レイズ傘下)
左投げ左打ち/ケンタッキー州ルイ・ビル大学出身
契約金700万5千米ドル
1Aアドバンスド所属(13日に1Aから昇格)。大谷に続く投打二刀流に挑戦中。
投手としては8試合に登板し、35.2イニング3失点、4勝0敗、防御率0.76。
打者としては27試合に出場し打率.241、OPS.736
2017年全体5位
カイル・ライト投手(アトランタ・ブレーブス傘下)
右投げ右打ち/テネシー州ヴァンダービルト大学出身
契約金700万米ドル
2A所属。10試合に登板し45.2イニング27失点、2勝5敗、防御率4.73。
上位5人だけで合計3400万米ドル(約38億円)という巨額の契約金を結んでいるにもかかわらず、ドラフト翌年は1A、 2Aからのスタートとなる。一般的に短期間での収益に重きを置く米国の経済文化としては珍しく、MLBは新人選手の育成に関しては極めて長期的な視野で臨んでいると言える。