田中、荒天に負けず6勝目! “データ”で見る「したたかさ」…ボール先行から5Kの巧者ぶり
2018/05/28
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失点は6回のソロ一発のみ。球数は今季最多104球
ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手が27日(日本時間28日)、本拠地ヤンキースタジアムで行われたロサンゼルス・エンゼルス戦に先発登板し、大谷翔平投手から2三振を奪うなど6回1失点の好投で今季6勝目を挙げた。
田中は今季11度目の先発マウンド。5勝目を挙げた21日(同22日)の敵地テキサス・レンジャーズ戦から中5日を空けて迎えた。
3回に3点の援護を受けた田中は、6回にアンドレルトン・シモンズ内野手に真ん中の82.9マイル(約133キロ)のスライダーを捉えられソロ本塁打を浴びるも、失点はこの1点のみ。
注目された大谷とのメジャー初対決も、第1打席にスライダー、第3打席にスプリットでいずれも空振り三振を奪うなど2打数無安打1四球に抑え込み、メジャー5年目の貫禄を見せる形となった。
田中はこの日6回、今季最多の104球(ストライク64球)を投げ被安打3、与四球3、奪三振8、失点1の成績で防御率は4.62。
ヤンキースは、その後もリリーフ陣がいずれも無失点と好投し3-1で勝利。田中はメジャー初対決となった大谷から2三振を奪う貫禄を見せるとともに、今季6勝目を挙げた。
四球与えた後は必ず凡退。大谷からは貫禄の2K
この日、ヤンキースタジアムは強風が吹き荒れ、小雨がパラつくなど選手たちにとっては苦しいコンディションだった。打球は風で流され、外野手は飛球を追うのに苦労し、6回にはヤンキースのジャンカルロ・スタントン外野手が風で戻される飛球を追ってダイビングし何とか捕球するシーンも見られた。
その中でも、田中の投球はスタントンら仲間の守備に助けられながらも安定していた。この日は104球を投げストライクは64球とストライク率は61.5%。23人の打者と対戦し、初球ストライクは14度。各打者3球投げた時点でカウント0-2、1-2と追い込んだのは9度あり、3球以内でアウトに打ち取ったのは5度あった。そのうち初球で打ち取ったのは3度。また、初球ボールでもその後三振に打ち取ったケースは5度とカウントを戻す能力も見受けられた。
初回にマイク・トラウト外野手に10球を要するなど、1打席で6球以上を投じたのは7度あったが、結果は5打数1安打2四球2三振。四球を与えた後は直後の打者を必ず打ち取っており、冷静なマウンドさばきが失点を少なく抑えることに繋がった。
球種の割合は、スライダーが35球で最も多く、次いでスプリットが32球。その他は速球(フォーシーム)が25球、シンカーが8球、カーブが3球、カットボールが1球(球種名は米公式サイト『MLB.com』より)。
アウトの内訳は、ゴロアウトが5(併殺打でのフォースアウト1を含む)、フライアウトが5、奪三振が8。4度のゴロはスプリットとシンカーでそれぞれ2度打ち取り、フライアウトは速球とスライダーでそれぞれ2度、スプリットで1度打ち取った。奪三振の決め球は、スプリットが4度で最も多く、速球で2度、スライダーとシンカーがそれぞれ1度だった。
打たれた安打3本は、ザック・コザート内野手とアンドレルトン・シモンズ内野手といずれも右打者によるもの。シモンズには2本打たれたが、いずれもスライダー。4回の中前安打は内を攻めて結果打たれたものだったが、6回に浴びた本塁打はほぼ真ん中に甘く入ったものだった。
注目された大谷との対決は、2三振を奪う“完勝”。初回の第1打席では初球からスプリットと速球が2球続けてボールになったが、3球目に外いっぱいのスライダーで見逃しでストライクを取ると、4球目に外角低めの速球をボールとされて、5球目は真ん中のスライダーを空振り。フルカウントとなって、最後は85.6マイル(約138キロ)のスライダーがやや抜けたものの、内角低めに行って空振り三振。5球目までは真ん中より外で投球を組み立てた。
4回の第2打席は、初球から低めを突き第1打席に続いて2球で2ボール。3球目の外角低めのスプリットで空振りを奪ったが、その後4球目の速球は高く浮き、5球目のスプリットは外角低めに行ったがボールとなり四球を与えた。
6回の第3打席は、初球93.1マイル(約150キロ)の速球を内角低めに投げたがボール。しかし、続く2球目の外のスライダーでファールチップ、3球目の速球は外角いっぱいに決まってカウント1-2と追い込む。そして、最後は4球目の88.7マイル(約143キロ)のスプリットを低めホームプレートを通過するコースに落として空振り三振。
悪天候にもかかわらず、田中の投球は終始落ち着いていて、ボール先行のカウントや結果的に与えた3四球さえ感じさせない、あっという間に打者を打ち取っていく印象。球数は今季最多の104球だったが、「熱投」「気迫を前面に押し出す」というよりかは、荒れた天候の中でいかに冷静に丁寧に相手を苦しめられるかに徹したような“したたかな”投球だった。