エンゼルス主砲・トラウト、歴史的ハイペースでの活躍。データから見る数々のレジェンド超えの可能性
2018/05/30
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ロサンゼルス・エンゼルスは28日(日本時間29日)のデトロイト・タイガース戦で今季54試合目を終え、レギュラーシーズンの日程1/3を消化した。二刀流・大谷翔平投手の活躍により、ベーブ・ルース以来100年ぶりとなる「二桁勝利、二桁本塁打」への期待が高まる中、もう1人のスーパースター、マイク・トラウト外野手も100年に1度とも呼ぶべき活躍を見せている。
28日時点での、トラウトの成績は打率.303でアメリカン・リーグ13位タイ、18本塁打(同1位)、35打点(同11位タイ)、12盗塁(同3位タイ)。好成績であることは一目瞭然で、過去4人しか達成していない40-40(40本塁打、40盗塁)も可能なペースだ。
だが、万能型の5ツールプレイヤーであるトラウトの凄みは、標準的な個々の指標以上に総合評価の高さにある。
セイバーメトリクスにWAR(Wins Above Replacement)という指標がある。打撃、走塁、守備を含めた選手の総合的貢献度を表す。あるポジションの選手が控えレベルの選手と比べてどれだけチーム勝利数の上積みに貢献したかを数値化したもので、一般的な目安として、このWARの値が2以上ならレギュラー選手、5以上ならオールスター級、8以上ならMVP級とされている。トラウトが新人王を獲得した2012年とMVPを獲得した2016年シーズンのWARはともに10.5であった。
野球専門サイト『ベースボール・リファレンス』によると、今シーズンここまでのトラウトのWARは4.9。現在のペースだとシーズン終了までに14.7に達する計算になる。この数字はにわかには信じがたい。この半世紀間で12以上のシーズンWARを記録した選手はおらず、現役選手の最高はトラウト自身の10.5だ。さらに歴史をさかのぼると、トラウトの現在のペースはメジャーリーグを彩る伝説の名選手たちのキャリアハイ記録をも上回っていることがわかる。
・ジャッキー・ロビンソン(1949年、MVP):WAR=9.6
・テッド・ウィリアムズ(1941年、打率.406): WAR=10.6
・ベーブ・ルース(1923年、MVP): WAR=14.1
・タイ・カップ(1911年、打率.420, 盗塁83、MVP):WAR=10.7
・サイ・ヤング(1901年33勝防御率1.62): WAR=12.8
今季の話題性ではチームメイトの大谷に奪われた感があるが、トラウトは26歳ながら新人王、MVP(2回)、オールスター(6回)に輝いている現役最高とも呼ばれる選手だ。既にリーグ最高の年俸(約38億円)を得ているが、今季ここまでの歴史的な活躍が続いたとすると、エンゼルスとの現契約が終了する2020年にはどれだけの金額になるのか想像すら難しい。
文・角谷剛