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大谷、投球リズム作った「初球カーブ」 雨の中で激変したスタイルが5回1失点の粘投生む

2018/05/31

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2度の雨天中断…再々登板はせず

 ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手が30日(日本時間31日)、敵地コメリカ・パークで行われたデトロイト・タイガース戦に先発し、5回1失点と粘投したが勝敗は付かなかった。
 
 大谷は初回に先制を許したものの、その後は徐々に投球を立て直す。4回を投げ終えた直後に降雨で一時中断したが、再開後の5回のマウンドに登り無失点。2死二、三塁のピンチの場面で投げ込んだ速球は、大谷自身が持つ今季MLB先発投手最速記録を更新する101.1マイル(約162.7キロ)を計測した。
 
 6回表の途中で再び雨が強く降り出し、試合はこの日2度目の中断。41分後に再開されたが、大谷はその後のマウンドには登ることはなく、この日は5回83球(ストライク55球)被安打3、与四球3、奪三振5、失点1の成績で防御率は3.18となった。
 
 エンゼルスは、6回に2番手で登板したベドロージアンが4失点で勝ち越しを許し、後続のリリーフも打たれて1-6で敗れた。

2回以降の制球支えた変化球。カーブはピンチでも臆せず投げ切る

 大谷は登板試合で自身メジャー初めてとなる降雨中断を経験。それも4回、6回と2度に渡る中断で、その空白の時間は計64分間に及んだ。最初の中断は23分間と短かったため5回のマウンドに登ったが、さすがに2度目の中断後は指揮官がGOサインを出すことはなかった。
 
 この日は5回にメジャー移籍後自己最速を更新する約162.7キロを計測したが、初回から速球で押す投球が目立った。5回83球を球種別に分けると、速球(フォーシーム)が36球、スライダーが22球、スプリットが18球、カーブが7球。
 
 速球36球のうち、1/3にあたる12球を初回に放った。しかし半分以上の7球がボールと制球に苦しみ、4番ビクター・マルティネスに与えた四球も最後の2球が速球、続く5番ニコ・グッドラム内野手に打たれたタイムリー安打も93.9マイル(約151キロ)の速球がやや甘めに入ったものだった。
 
 それでも、2回以降は初球から変化球を投じるようになり、徐々にコントロールが安定していく。初回23球のうち7球の速球を含め約半分の11球がボールだったのに対して、変化球を多用するようになった2回以降は60球のうち2/3以上の43球がストライク。また、初回に乱れた速球自体も、24球中17球がストライクと改善の傾向が見られている。
 
 そして、初回にタイムリーを打たれた場面は、初球にカーブを放った後の2球目を叩かれたものだったが、カーブは3回以降も初球に持ってくることが多く、以後は4度初球にカーブを投げた打者を必ずアウトに打ち取っている。3回にニコラス・カステヤノス外野手に二塁打を浴びた直後も、ジェイマー・キャンデラリオ内野手にはカーブで入り三振に繋げた。
 
 ただでさえ降雨でコンディションが悪く中断も挟んだ試合展開で、カーブは投球のリズムを作るには持ってこいの球種だったと言えるだろう。
 
 アウトの内訳は、ゴロアウト2、フライアウト8、奪三振5と打たせて取ったアウトは飛球が極端に多かった。フライアウトの決め球は変化球が6度。スライダーとスプリットがそれぞれ3度ずつだった。初球にスライダーを打たせた以外の打席は全てその前に少なくとも速球を1度投げており、150キロ台後半の速球と130キロ台前半~後半のスライダーとスプリットでタイミングを上手く狂わせた形だ。
 
 2度の“水入り”を経て5回1失点と試合を作った大谷。球数自体は83球と少なかっただけに、雨がなければ6回のマウンドにも登っていただろう。結果として直後にリリーフが打たれ敗れたとあって、ファンにとっては“もどかしさ”の残る試合となった。それでも、これも大谷にとっては貴重な経験の1つ。雨の中での投球をどのように組み立てれば良いかを考えるきっかけになり、これをまた今後の飛躍に繋げていきたいところだ。



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