「打者・大谷」進化と苦悩の5月15安打。“ゾーン”で見える外角攻略…終盤は課題鮮明に
2018/06/06
Getty Images
自身メジャー初の3戦連続無安打…左腕に対する苦戦が浮き彫りに
しかし、終盤は苦戦を強いられた。メジャーに来て初めて経験した3試合連続無安打。それまで2試合連続無安打がなかったことがまず常人離れしているのだが、それがあっただけにこの連続無安打はファンに悪い意味での衝撃を与えた。この3試合連続無安打をフォーカスしてみると、まずこれらはニューヨーク・ヤンキースとの3連戦で起こったものだった。先発はそれぞれルイス・セベリーノ、ソニー・グレイ、田中将大といったエース級の投手。
大谷は2戦目までを5番で、3戦目を4番という打順で臨んだ。初戦の第1打席は全球内角低めで勝負され最後は98.7マイル(約159キロ)の速球に空振り三振。第2打席の四球を挟み、第3打席も真ん中から外の球に終始し97.9マイル(約158キロ)の速球に遊ゴロ。4月27日(同28日)に対戦し本塁打を放った相手に対して、仕返しを食らった形となった。剛腕クローザーのアロルディス・チャップマン投手との対戦になった第4打席も、全球速球で最後は外角高めの101.9マイル(約164キロ)を弾き返すも遊ゴロに倒れた。
一方、翌2戦目は打ち取られた4打席中3打席が真ん中から内側の球を打ちにいったもの。第1打席で内角低めのスライダーに空振り三振を喫すると、第3打席では高めの速球に空振り三振。リリーフに代わった第4打席は、内角高めの速球に遊ゴロ併殺。第5打席は一転して外角低めの速球で遊ゴロと翻弄されてしまった。
そして、田中とのメジャー初対決が注目された3戦目。田中はが先輩として貫録を見せる。第1打席では、外角の高低を攻めながら最後は内角へのスプリットで空振り三振。第2打席を四球にした後の第3打席、速球とスライダーで低めを丁寧に突くと、カウント1-2から最後は88.7マイル(約143キロ)のスプリットを低めに落として空振り三振。日本時代に11打数無安打6三振という対戦成績だったが、メジャーでもまず軍配は田中に上がった。
また、左投手に対する苦戦も目立った。ヤンキース戦でチャップマンの前に凡打に終わったのを含め、18日(同19日)にジョニー・ベンタース投手の外角低めのスライダーに空振り三振を喫して以降10打席連続無安打(4三振)となっている。23日、24日の敵地でのトロント・ブルージェイズ戦では、スリークウォーターから投げ込むアーロン・ループ投手に対して、追い込まれてからいずれも真ん中の速球に見逃し三振に倒れた。そして、左腕のマシュー・ボイド投手が先発した28日(同29日)のデトロイト・タイガース戦に至っては、先発メンバーからも外されてしまった。
得意、不得意の分野があるのは仕方がないことだが、数字という結果に如実に表れると、監督はプロとして勝利のために厳しい決断をしなければならない。再び左腕相手に打席に立つチャンスはくるだろう。しかし、そこで改めて修正能力を発揮できなければ、さらに活躍の幅は狭まってしまう。逆に、良い結果を残すことができれば飛躍のきっかけになる。「打者・大谷」とって大きなターニングポイント、それを6月以降で乗り越えられるか注目だ。