大谷不在…“窮地”エンゼルスに現れた30歳のキューバ人 鮮烈デビューでチームに光明
2018/06/12
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キューバリーグ9年間で通算打率.319
ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手が、8日(日本時間9日)に右肘靭帯損傷により故障者リスト(DL)入りしたニュースは大げさではなくメジャーリーグを揺るがした。加えて打率.330と絶好調だったアンドレルトン・シモンズ内野手も右足首捻挫でDLに入っており、エンゼルスはチームの中心選手2人を故障で欠く苦しい展開を強いられている。
そんな窮地のチームに現れたのが、キューバ出身の30歳、ホセ・ミゲル・フェルナンデス内野手だ。フェルナンデスは、キューバのプロリーグで9年間プレーし通算打率.319と活躍。2013年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)代表にも選ばれた選手だ。
ところが、2014年のシーズン途中にキューバからの亡命を試み、失敗。2015年はキューバ政府から出場禁止措置を受け、1試合も出場できなかった。
2015年12月に再度亡命に成功。2016年はドミニカ共和国のリーグでプレーした後、2017年にロサンゼルス・ドジャーズとマイナー契約を結んだ。2017年はドジャーズ傘下2A、3Aに所属し、いずれも3割以上のシーズン打率を挙げたものの、ドジャーズはシーズン後にフェルナンデスを解雇する決断を下した。
そして、2018年1月にエンゼルスとマイナー契約を結び、3Aのソルトレーク・ビーズで開幕を迎え、これまで53試合に出場し、打率.345、10本塁打、39打点の好成績を残していた。
大谷のDL入りに伴い、エンゼルスはフェルナンデスをいよいよメジャーに昇格させる。昇格当日である6月8日(同9日)のミネソタ・ツインズ戦に「7番・ファースト」でいきなりスタメン出場すると、メジャー初打席初安打を放ち、チームの勝利に貢献。
その後の同シリーズ2試合でも安打を重ね、3試合で計9打数4安打1打点とチーム首脳陣の期待に充分以上の成績で応えている。
内野手プホルスをDHに戻し奏功
フェルナンデスは右投左打。キューバ時代は主にセカンドを守っていたが、内野のどのポジションも守れるユーティリティー・プレイヤーでもある。
エンゼルスはツインズとのシリーズではフェルナンデスを一塁手に起用し、大谷の起用に伴って守備を任せていたアルバート・プホルス内野手を再び指名打者(DH)として起用。そのプホルスも9日に本塁打を含む2安打、翌10日も2安打、3打点と復調の兆しを見せている。
ファーストにフェルナンデス、DHプホルスの布陣が定着し、結果を出し続けることが出来れば、エンゼルスは大谷が抜けた穴のうち少なくとも攻撃面は埋めることが出来る。
地元紙『ロサンゼルス・タイムズ』によれば、フェルナンデスはデビュー戦後のインタビューで「私は希望を失くしたことはなかった。もし失くしていたら、私は今日ここにはいない」と通訳を介し語っている。波乱万丈の野球人生を送ってきた30歳のルーキーが、故障者続出による苦境のチームを救うことになるのだろうか。