DL入りの大谷、「常にリスクを伴っていた」。保存療法か手術か、再発防ぐには投球フォーム見直しを【小宮山悟の眼】
ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手が故障者リスト(DL)入りした。右肘の靭帯に損傷が見つかり、PRP(多血小板血漿)注射の措置を行ったという。2017年10月に続いてのことだが、これからの大谷がどうしていくべきなのかを考えてみたい。
2018/06/13
Getty Images
予想以上に早かった大谷の故障
大谷がDL入りしたニュースを耳にした時は「こんなに早いとは」という印象だった。これまでも松坂大輔(中日ドラゴンズ)やダルビッシュ有(シカゴ・カブス)、田中将大(ニューヨーク・ヤンキース)など多くの日本人投手が悩まされた故障のため、大谷にも故障の可能性はあると思っていたが、こんなに早いタイミングでやってくるとは全くの想定外だ。
故障リスクは誰にでも付きまとう。大谷の場合は、我々が考える領域のはるか上をいくレベルのボールを投げている。ストレートの球速はもちろん、スプリットなど変化球のレベルも高い。
今季最速101.1マイル(約162.7キロ)を記録。あれだけ速いボールを投げるための必要条件は全て備えていたが、唯一、心配だったのが筋力量だ。193センチ、92キロで肩関節の柔らかい大谷だが、そこに付随する筋肉がもう少し必要だったのかもしれない。
ただ、ピッチングスタイルとの兼ね合いもある。腕の筋力があった方がいいが、筋力がつくと、今度は重さが出てくる。腕が重くなると、振りのスピードが遅くなり、球速が落ちる可能性があるのだ。
大谷は170キロに届こうかというボールを目指していた投手なので、筋力と肩関節の可動域のどちらを優先するかは難しい。つまり、故障のリスクが常に伴う投手だったいうことになる。
世間一般的にも言われている日米の公式球の違いも故障を引き起こした要因の一つになる。メジャーのボールは日本プロ野球より一回り大きく、適応するのが大変だっただろう。
大谷自身がどの球種を投げる際にストレスを感じていたかはわからないが、スプリットだけでなく、スライダーに負担も大きかったのではないか。メジャーのボールはしっかりグリップしないと抜けてしまう。抑え込もうと思えば、肘には負担があったはずだ。