メジャーHR距離No.1は“大谷と同タイプ”の新人王候補 将来有望もDL入りで長期離脱か
2018/06/21
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打球の速さ、俊足、いずれもエンゼルス・大谷翔平を上回る
わずか1年前までは1A所属だったセントルイス・カージナルスの新人ジョーダン・ヒックス投手が時速169キロ以上を連発して、高精度データ解析ツール『Statcast』の投球速度部門で今季トップ5を独占したのが5月20日(日本時間21日)のこと。そして、注目度はやや落ちるが、同じく『Statcast』の本塁打の距離部門でも異変が起きている。
今季同部門のトップにいるのはニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手(2017年1位)でもジャンカルロ・スタントン外野手(2016年1位)でもなく、サンディエゴ・パドレスの新人フランチー・コーデロ外野手である。
コーデロはドミニカ共和国出身の23歳。昨季途中でメジャー昇格を果たしているが、今季もまだ新人王の資格がある。コーデロが4月20日(同21日)のアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦で放った489フィート(約149メートル)の本塁打が2カ月経った現在も『Statcast』における今季メジャーの最長本塁打距離、歴代でも9位の記録である。
コデロの特長の1つはまず打球の速さにある。メジャーでも屈指のハードヒッターで、時速116マイル(約187キロ)以上の打球を今季既に4回放ち、平均打球速度は94.7マイル(約152.4キロ)でメジャー9位に入っている。参考までに、大谷翔平投手(ロサンゼルス・エンゼルス)の最高打球速度は111.2マイル(約179キロ)、平均打球速度は94.2マイル(約151.6キロ)である。
さらにもう1つの特長は俊足。マイナーリーガー時代は2016年、2017年と2年連続でリーグ最多の三塁打を放っている。『Statcast』によると、コーデロのスプリント・スピードは秒速29.2フィート(8.9メートル)で、 現在メジャー全体で23位。ここでも参考までに大谷と比較すると、大谷のスプリント・スピードは秒速28.1フィート(8.7メートル)で、メジャー全体106位。
コーデロは元々は内野手であったが、エラーが多く、守備が弱点と見られていた。その類まれなスピードを活かすために外野手にコンバートされ、2016年にセンターに定着している。
コーデロは身長192センチ、体重79キロ。大谷と同じく長身痩躯の体格で、右投げ左打ちという点でも同じ。コーデロのパワーもスピードも打者としてのポテンシャルの高さは大谷と同等かそれ以上のように思われる。
将来のスター候補として期待されるコーデロだが、5月28日に右腕の張りによって10日間の故障者リスト(DL)に入った。パドレスのアンディー・グリーン監督は、コーデロが6月17日(同18日)にリハビリ出場した傘下3Aの試合で怪我を悪化させて、チームから離脱したと発表した。コデロは精密検査を6月19日(同20日)に受けたが、復帰時期は未定とのこと。
メジャーリーグで今季話題の若手有望株選手のうち、アトランタ・ブレーブスのロナルド・アクーニャ外野手は5月28日(同29日)に、エンゼルスの大谷は6月8日(同9日)に、トロント・ブルージェイズ傘下のブラディミール・ゲレーロ・ジュニア内野手も6月8日に、それぞれ相次いでDL入りしている。そんな中、コーデロの長期離脱はパドレスにとってもメジャーリーグ全体にとっても残念なニュースとなった。