ブリュワーズ、“契約金5万円”ドラ外新人メジャー初安打が本塁打 マイナー5年、28歳の野手が台頭
2018/07/08
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ミルウォーキー・ブリュワーズのドラフト外入団の新人内野手が快挙を成し遂げた。米国独立記念日の4日(日本時間5日)、ミネソタ・ツインズ戦でメジャー初安打となる1号ソロ本塁打を放った。
記念すべきアーチを描いたのは、ネイト・オーフ内野手だ。
1990年生まれの28歳。ベイラー大学卒業時(2013年)にブリュワーズへドラフト外で入団した。オーフは、在学中に全米大学野球選手権(カレッジ・ワールドシリーズ)に出場し、最終年には打率.377の好成績を残した。それにもかかわらずドラフト指名されなかったのは、身長約173センチとメジャーリーガーとしては小柄な体格であることが影響したとみられている。
当初、提示された入団契約金は1000ドル(約11万円)。しかし、オーフが「それでスニッカーズ・バー(チョコレート菓子)でも買うよ」とジョークを飛ばすと、500ドル(約5.5万円)に減額されたというエピソードを持つ。
プロ入り後は、ルーキーリーグでも3割以上の打率を残し、翌年には1Aを飛び越して1Aアドバンスドに昇格。その後順調に2A、3Aとキャリアを積み、入団6年目の今年7月2日にメジャー昇格を果たした。
オーフの初安打となる1号ソロが生まれたのは、デビュー3試合目だった。
打球がレフトフェンス裏のブルペンに突き刺さると、地元ミルウォーキーファンは総立ちでダイヤモンドを走るオーフに大歓声を送った。この1点が決勝点になり、ブリュワーズは勝利を飾った。一旦、ダグアウトに下がったオーフが2人のチームメイトに担ぎ上げられてフィールドに再び姿を現すと、ミラー・パークの3万6,700人のファンは熱烈な声援を送った。
28歳でメジャー初安打が本塁打というのは、7月1日にニューヨーク・ヤンキースのカイル・ヒガシオカ捕手が果たした快挙と同じ。ヒガシオカはその後アトランタ・ブレーブスとのリーグ交流戦シリーズで2試合連続本塁打を放つなど活躍を続けている。何億円もの契約金を獲得した有望株選手が脚光を浴びる中、このような伏兵選手の台頭もまたファンからの大いなる喝采を受けるに相応しい。
オーフはでツイッターで、「私の夢を現実にすることに手を貸してくれた全ての人に感謝します」と喜びを語っている。
ブリュワーズは7日(日本時間8日)、オーフの3A降格を発表した。今回のメジャー生活は1週間足らず、4試合の出場で終わったが、メジャーとマイナーを頻繁に行き来するのはキャリアの浅い選手にはよくあること。今後のさらなる活躍に期待したい。
文・角谷剛