ロイヤルズと契約、16歳の結城海斗。中卒でのメジャー挑戦は是か非か、10代マイナーリーガーを振り返る
2018/07/18
MLB公式サイトのスクリーンショット/Satoshi Asa
日本ハム・村田、経験者ゆえの重み「メジャーはそんなに甘くない」
若くして渡米し、ルーキーリーグから抜け出せないままプロ生活を終えた選手の多くはこう語る。
「やっぱり若すぎた。もう少し人間として経験を積んでから行けば、絶対にメジャーに行けたと思う」
しかし、その考えを一蹴する声もある。プロ野球のドラフト1位でプロ入りし、1軍での登板がないまま渡米した村田透(北海道日本ハムファイターズ)だ。長いマイナー生活を経て、1試合だけメジャーのマウンドに上がった。
「メジャーはそんな甘いものではないですよ。そういうことを簡単に言う選手は、目指すものの高みを本当にわかっていないから言えるんです」
今回の結城のケースは、契約最低年齢に達してすぐの契約という点で島袋のケースに似ている。ただ、島袋は野球をする場所がなかった状況だったのに対し、結城は本人が望めば強豪校への進学も可能だった。あえて早期の渡米を選んだという点で新しいケースとも言える。
1997年春のセンバツ優勝校である天理高のメンバーで、翌年にレッドソックスと契約して渡米し、ルーキーリーグのMVPに輝いた川畑健一郎さんはこうアドバイスを送る。
「とにかく、アメリカという国に慣れることが一番大事。24時間のうち、野球をやっている時間より生活している時間の方が圧倒的に長いですから」
結城の当面の目標は、もちろんメジャー昇格だろう。米国のシステムに早くなじんで成功を勝ち取ってもらいたいものだ。
ただ、視野を広げればメジャー昇格だけが人生の「成功」ではない。野球をプレーしている期間より、引退後のほうがはるかに長い。米国での経験をセカンドキャリアに生かすこともできる。
結城には長い人生、悔いのないように自分の気持ちを前面に出して頑張ってほしい。16歳の若者の選択に大いにエールを送りたい。
文・阿佐智