MLBオールスターゲームに見た本塁打の魅力、30年に一度の“レア感”が生み出す熱狂の雰囲気【小宮山悟の眼】
MLBのオールスターゲームは17日(日本時間18日)、ワシントン・ナショナルズの本拠地ナショナルズ・パークで開催された。前日のホームランダービーは地元ナショナルズのブライス・ハーパー外野手が制し、試合は両軍計10本塁打が生まれる空中戦で球場は熱狂に包まれた。
2018/07/28
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フライボールがすべてではない、メジャーリーガーの卓越した打撃技術
1試合で10本のホームランが生まれた。出場した選手は、長打力のあるプレーヤーが名を連ねていたため、驚きは少ないが試合前の天候も大きく作用したのだと思う。5時間前には雨が降り、風も強かった。私はスタンドから試合を観戦したが、風向きからホームランが出そうだなと予測できた。
最近のMLBの傾向として「フライボール革命」がある。レギュラーシーズンを見ていても明らかなように、バッターの意識が内野の頭を越すというより、外野の頭を越そうという打ち方になっている。
ただ、それがすべてではない。フライボール革命が進んでいるから、メジャーリーガーの誰もがホームランを狙っているわけではない。例えば、ヒューストン・アストロズのホセ・アルトゥーベは長打力もあるが、カウントによってはアウトコースに逃げるボールに対して、うまくコンタクトしてヒットにする技術を見せている。
バッティングカウントが有利に働いているときは、自分のスイングができている。ホームランを狙う打ち方をしていても、追い込まれた状況ではファウルで逃げながら、ライト前ヒットでしっかり出塁するという意識をしっかり持っている。つまり、結果を出す選手は、みんな反対方向にしっかり打てるのだ。
とはいえ、今回はホームランに始まり、ホームランの良さを改めて感じさせてくれたMLBらしさが詰まったオールスターゲームだった。
小宮山悟(こみやま・さとる)
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。
氏原英明