田中将大、見極められたスプリット――新スタイル確立は”制球力”の復活にあり
ヤンキース・田中将大の今季2試合目となった12日のレッドソックス戦は、打線に勝たせてもらった今季初白星だった。5回を4安打4失点、97球で降板となった。昨年の田中を支えた、スプリットと高い制球力の2つの要素、ここの精度が高まらない限り本来の田中は戻ってこない。
2015/04/14
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見極められていたスプリット
頼みの綱を失うと、現状の力ではこういった結果になる。
ヤンキース・田中将大の今季2試合目となった12日のレッドソックス戦は、打線に勝たせてもらった今季初白星だった。残念ながら、エースの投球ではなかった。
貧打線が珍しく、初回に大量7得点を挙げるなど、登板中に10得点もの援護をもらった。それでも結局、5回を4安打4失点、97球で降板となった。
「僕自身は仕事ができなかった。締まらない展開にしてしまって情けない」と勝利投手には似つかわしくない、反省の弁が口を突いた。
昨年7月にじん帯を部分断裂した右肘への負担を考慮し、ツーシームを軸とした打たせて取る投球スタイルへの転換を決めた。まだ移行段階で、そのツーシームの制球などに課題が残る中、宝刀スプリットが乱れた。
この日投じた97球中、スプリットは19球。うち、空振りを奪えたのはわずか2球だけだ。
半数以上の10球がボール。ファウルで逃げられたのが4球と、完全に見極められていた。
顕著だったのが3失点した4回だ。先頭のオルティスを四球で歩かせると、続くラミレスの打席でスプリットを2度も暴投し、オルティスはそれぞれ二塁、三塁へと進塁。各駅停車の鈍足ランナーをみすみす三塁へと進め、あっさり中犠飛で初失点してしまう。
さらにサンドバルに中前安打され、続くナポリはカウント2―2から2球連続でスプリットがワンバウンドして四球。ビクトリノも追い込んでからのスプリットがワンバウンドのボールで、結局二塁失策で出塁され満塁に。ボガーツに甘く入ったツーシームを、2点二塁打された。
この回に限れば、投じたスプリット8球中、7球がボールだった。
田中も決め球の変調を課題に挙げた。
「相手が振りたくなるような球の動きをしていなかった」
ワンバウンドが続くなど、投げはじめから明らかなボール球となる軌道が目立ち、相手の空振りを誘うシーンがほとんどなかった。
昨年の田中を支えた要素がこのスプリットと、高い制球力の2つだった。
昨季は136回1/3を投げて、四球は21個。1試合9イニング換算では、1.4四球という少なさだった。
それが今季はまだ2試合ながら、9回を投げて、四球は5個。当然1試合9イニング換算では、そのまま5四球となる。昨季平均の3倍以上の多さだ。