ワンステップ投法は合法!? イチローの同僚の投球フォームが全米で話題に
イチローの同僚であるマイアミ・マーリンズのリリーフ投手カーター・キャップスが披露した投球フォームに大きな注目が集まっている。そのフォームとは投球動作中に大きくワンステップ。フォームプレートの50cm手前からリリースするという驚きのものだ。
2015/04/18
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MLBのルール上は違反にあたらない
キャップスがメジャー昇格前にマイナーでこのフォームを試したところ2球とも違法投球として自動的にボールが宣告されている。この時は残り2球を大きく外し、打者1人を敬遠したところでマウンドを降りた。しかし翌日マーリンズが判断を仰ぐためMLB機構を訪問、上のようなGOサインが出たため、昇格、登板に繋がったという裏がある。
MLBのルールブック上でもプレートを踏んだ状態でいなければいけないとされているのは牽制球の時のみ。つまりキャップスのようにリリース時に離れていようとルール違反とすることはできないそうだ。野球データサイト『Fangraphs』の敏腕記者デーブ・キャメロンもこの件に関しては「キャップスのコメントに沿えば、前方に飛ぶならばOK。上方向に飛んだらアウトということだろう」とし、「MLBが合法というならそれは合法なんだ」とルールに関してはMLBの意向が絶対だとしている。これからもまた議論が生じる可能性は否定できないが、MLB機構が合法と認めた以上大きな騒ぎになることはないだろう。
実はこうした「ワンステップ投法」を実践したのはキャップスが初めてではない。現カージナルスのジョーダン・ウォルデンは飛距離こそキャップスほどでないにせよエンゼルス在籍時に数年にわたってワンステップ投法を実践しているし、2011年にドジャースで21Sをあげたハビー・ゲラもマイナー時代にワンステップして投げていたと言われている。
ワンステップ投法の利点としてあげられるのが、リリースポイントが打者よりになるという点。打者寄りでリリースすることによって初速と終速の差が縮まり、そのぶん打者を詰まらせることができる。カブスの和田やNPBでは読売の杉内、阪神の岩崎らがあまり速くないストレートで空振りを奪えるのはその球持ちの長さゆえにリリースが打者よりになるところが大きい。加えてキャップスは100マイル近い剛速球投手、13日の登板でも98マイル(157km/h)を記録している、この速球が10cmどころか50cmも前から投げ込まれるのだから驚異というしかない。
またキャップスの投法ならば通常のモーションと使い分けることもできる。1球ごとにリリース位置が50cmも前後するとなれば、打者にとっては厄介なことこの上ないだろう。