大谷翔平、打撃高評価の中で迫られる「究極の選択」。手術経て二刀流ができる体勢づくり必要【小宮山悟の眼】
ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手が、新たな右肘の損傷が見つかった後も「打者」として驚くべき活躍を見せている。“選ばれし人間”こそができる二刀流。手術も視野に、大谷はどのような決断を下すのだろうか。
2018/09/11
Getty Images
打者としてフル出場なら50本塁打で「本塁打王」争いも
ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手の右肘靭帯に新たな損傷箇所が見つかった。医師から手術を勧められているという報道もあったが、本人は周囲の喧騒をよそに打者として試合に出場し、結果を残し続けている。「投げられないけど打ってます」という雰囲気でプレーできる選手だからこそ、周りが騒いでも冷静でいられるのだろう。
それにしても、彼の打棒には驚かされるばかりだ。このまま出場を続ければ、20本塁打は楽に到達できるだろうし、シーズン終了後には右左関係なくどちらの投手からも同じような成績を残すのではないか。
私はシーズン開幕前、「大谷クラスの打者はメジャーにゴロゴロいる。大谷は投げるほうがすごい」と言ってきたが、その見立ては間違っていた。あれほどのボールコンタクト能力と飛ばす力があるとは思っていなかった。
いまの大谷が打てないのは、誰もが驚く速球派、ひざ元でものすごく曲がるスライダーを投げる右腕、制球が悪そうな左腕。そのほかの投手は対応できている。それほど彼のバッティングには群を抜いたものを感じるし、彼を打者で使いたいという球団の気持ちも理解できる。
城島健司が持っていた日本人選手1年目の最多本塁打記録18本を超えたと話題だが、大谷の試合数や打席数を考慮すると天と地ほどの差がある。大谷が打者としてフル出場していたら、単純計算で40本に到達していたことになる。つまり本塁打王争いをしているような数字なのだ。
投手専任という話はあったが、今後は打者専任という案も出てくるのではないか。もちろん、打者専任というのは究極の選択になるが、それだけ打撃が高く評価されているということだ。
靭帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)で1年を棒に振るのがもったいないと考えるなら、投手を断念すれば向こう15年は打者でフルに出ることができる。年間50本塁打という数字が見えてくるかもしれない。日本人初のメジャーリーグ本塁打王となる可能性もある。