大谷翔平、打撃高評価の中で迫られる「究極の選択」。手術経て二刀流ができる体勢づくり必要【小宮山悟の眼】
ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手が、新たな右肘の損傷が見つかった後も「打者」として驚くべき活躍を見せている。“選ばれし人間”こそができる二刀流。手術も視野に、大谷はどのような決断を下すのだろうか。
2018/09/11
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気づき始めた「本当の実力」。しかし譲ってはいけない二刀流の“能力”
おそらく大谷は、自分の本当の実力に気づき始めているところだと思う。メジャーリーグのような高いレベルだと自分でも気づいていなかった能力が引き出されることがある。高い能力と技術を持った選手が近くにいると感化されるからだ。大谷の自信の度合いも変わっているのではないか。
だが、大谷は「両方できるからすごい」というのも譲ってはいけない事実だと思う。二刀流ができるのは選ばれし人間だけだ。しかし、現在の肘の状態は投手生命が断たれたケガではないから思い切って手術に踏み切って、両方できる態勢を整えてほしいと思う。
エンゼルスが一度投手復帰させたのは、手術への目論見もあっただろう。1戦だけではなく、2、3試合登板してメンテナンスするということを繰り返す中で、肘の状態があがらないのであれば手術に踏み切ってもらおうという狙いがあったはずだ。
だから球団に落胆はないはずだが、大谷はこれからどういう選択をするのか。シーズン終了後あたりまでオフィシャルアナウンスしないかもしれないが、打撃の評価が著しく上がっている中で、大谷が野球人生をどう選択していくか見守っていきたいと思う。
小宮山悟(こみやま・さとる)
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。
氏原英明