ツーシームを見せ球に、フォーシームで押した田中将大 新スタイルが生み出す副産物
ヤンキース・田中将大が18日のレイズ戦に先発し、文句の付けようのない内容で2勝目を挙げた。この試合で特徴的だったのはフォーシームを多投した点だ。それは何を意味しているのだろうか。
2015/04/21
Getty Images
この日ツーシームは10球にも満たず
では、なぜネット裏のメディアや、対戦したレイズの打者たちはそう感じたのか。レイズのケビン・キャッシュ監督は「これまでよりも左打者に対するツーシームが少なかった」と語っている。田中の開幕前の技巧派への変身宣言。そして開幕2試合の投球内容。この両者が、色濃い伏線となって、18日の田中に凄味を与えた。
実際、この日はツーシーム自体が10球にも満たず、完全な見せ球で軸球ではなかった。打者の手元で動くツーシームは、フォーシームに比べれば2、3kmは球速が落ちるのが常。その割合が減って、フォーシームが増えれば、平均球速も増すのが自然の理だ。
実はこうしたスタイルの引き出しの多さも、ツーシームを軸としたスタイルを普段打ち出すことの副産物の一つ。ツーシームの優れた使い手で知られた大先輩の黒田博樹とて、毎回ツーシームだけを軸に投げていたわけではない。時にはスプリットを軸球に、またはフォーシームを軸球に。試合当日の状態に合わせて、切るべき手札を見定める。
相手打者の想定とのギャップは、大きな武器になる。
【次ページ】あくまでも軸はツーシーム