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エンゼルスはトラウトを放出すべきか――米で繰り返される“球界の至宝”を巡る議論とは

2018/09/28

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 9月も後半に入り、メジャーリーグのレギュラーシーズンは終盤に差し掛かった。プレーオフに進出するチームが次々と決定しているこの時期、米国内、特にロサンゼルス近辺のメディアが毎年のように繰り返す話題がある。「ロサンゼルス・エンゼルスはマイク・トラウトをトレード放出すべきか」である。
 
 2020年のシーズンオフまでの6年契約をエンゼルスと結んでいるトラウト。本来ならば現時点で持ち出される必要がない話題である。だが、トラウトが毎年のようにMVP級の活躍を見せているのにもかかわらず、エンゼルスがプレーオフ進出を逃し続けている。このことから、球界の至宝と言うべき選手の去就が繰り返し取り沙汰されるのだ。
 
 トラウトは、2011年のデビュー以来、MVPを2回受賞し、オールスターに7年連続で選出されている。1シーズンのWAR(打撃、走塁、守備を含めた選手の総合的貢献度を表す指標)が8以上でMVP級とされるが、トラウトの8年間での通算WARは既に64を超えている。毎年MVPを受賞していてもおかしくない活躍だ。
 
 現役選手だけでなく、トラウトこそメジャー史上最高の選手だと称する声は多い。まだ27歳のトラウトは年齢的にもピークに達したとは言えず、今後10年間以上は現在と同等かそれ以上に活躍できると見られている。
 
 一方、エンゼルスは、トラウトが在籍したこの8年間でプレーオフに進出したのは2014年のわずか1回。その時もカンザスシティ・ロイヤルズとのディビジョン・シリーズで3連敗して早々と姿を消した。
 
 野球は、個人成績がチーム成績に必ずしも直結しないスポーツではある。だが、球界最高選手を擁しながら、その活躍ぶりをプレーオフの舞台で野球ファンに見せることが出来ないエンゼルスを批判する声もある。そのことでトラウトがモチベーションを失ってしまえば、球界全体の損失になるからだ。
 
 こうした状況を踏まえて、大手メディアからファンのブログに至るまで、トラウトの契約について議論百出している。エンゼルスはすでに長期の契約延長、あるいは生涯契約をトラウトに持ちかけているという報道もあれば、2020年末を待たずにトラウトを他球団にトレードするべきだという意見もある。
 
 また、今年は大谷翔平が靱帯再建手術(トミー・ジョン手術)に踏み切ったことで、議論は複雑さを増している。『CBS Sports』のマイク・アキサ記者は「大谷とトラウトがコンビを組めば、間違いなくメジャーリーグきっての二枚看板になる」とする一方、トラウトとの高額契約は球団資金を圧迫するという見方も示している。
 
 「エンゼルスが現在でもメジャー最高の年俸(約38億円)であるトラウトとさらに高額の長期契約を結べば、5年後にフリーエージェントとなる大谷をつなぎとめるだけの資金がエンゼルスには残らない」と述べている。さらに「トラウトを放出することによって得られる資金でファームを充実させ、大谷がフルに二刀流選手として復活する2020年以降にプレーオフを狙えるチーム再建の道を探るべきではないか」としている。
 
 メディア、ファンが様々な議論を繰り広げるが、あくまでも憶測の域を出ない。だからこそと言うべきか、はっきりとした結論が出るまでは、この毎年恒例の話題が止むことはないだろう。
 
 
角谷剛



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