古豪球団カブス トリックプレーの陰でみせた、『ベースボールIQ』の高さとは?
現地時間19日、カブス本拠地リグレー・フィールドで行われたパドレス戦で全米が注目するプレーが飛び出した。
2015/04/23
Getty Images
一瞬の状況判断が生んだトリックプレー
ナショナルリーグ中地区に所属するシカゴ・カブス。
球団が創設されたのは19世紀という超老舗球団。そして本拠地リグレー・フィールドは、メジャー有数の美しさを誇る球場。外野のフェンスに絡まるツタが、古き良き時代を感じさせる。
カブスがワールドシリーズを制覇したのが、1908年。もう100年以上もチャンピオンから遠ざかっているのだ。2014年は2年連続で最下位に沈み、これで5年連続で負け越し。
しかしながら、チームの雰囲気は非常に良い。2011年末にセオ・エプスタインがカブスの球団社長に就任してからというもの、球団再建が一気に加速。中途半端なベテランはどんどん放出し、若手有望株をかき集めた。
そんな『金の卵』たちが今年、徐々に芽を出し始めている。超有望株のクリス・ブライアントとアディソン・ラッセルがメジャーに昇格。彼らの存在が、チームに勢いを与えている。4月21日現在で8勝5敗の地区2位。まずまずのスタートだ。
若手選手の話題ばかりが先行しているが、この男の存在を忘れてはならない。昨年オフ、カブスが1億5500万ドルをはたいて獲得したジョン・レスターだ。メジャー屈指の左腕の加入は、カブスの球団再建がほぼ完了したことを意味している。
そんな百戦錬磨の左腕が先日、トリッキーなプレーでファンを楽しませてくれた。
現地時間4月19日、本拠地リグレー・フィールドで行われたパドレス戦。先発のレスターは2回表に2点を失い、なおもランナー1塁のピンチ。迎えるバッターはクリント・バームス。バームスは92マイルのシンカーを打ち返し、打球はワンバウンドしてレスターを強襲。この辺りは、さすがはベテラン。レスターは巧みなグローブ捌きで打球をすくい上げ、すぐにセカンド方向へ振り向き、ダブルプレーを狙う。実に滑らかな動きだ。
しかし、ボールがグローブに挟まり、抜けない!
レスターは瞬時にダブルプレーを諦め、ファースト方向へ2、3歩進んだ後、グローブごと1塁手のアンソニー・リゾへトスに。見事アウトに仕留めた。
慌てることなく、淡々と処理したレスター。もちろんこのプレーが全米中の話題となったのは言うまでもない。多くの現地メディアは動画とともに取り上げ、レスターの瞬時の判断力を賞賛した。