メッツ新GM候補にキム・イング女史、ド軍GM補佐など要職を歴任 MLB史上初のアジア系女性就任なるか
2018/10/10
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ニューヨーク・メッツの新ジェネラル・マネジャー(GM)選定が大詰めのようだ。8日(日本時間9日)の地元紙『ニューヨーク・ポスト』などでは、最終候補と思われる4人の中に現MLB重役のキム・イング女史の名前が挙がっていると報じられている。実現すれば、MLB史上初のアジア系女性GMの誕生となる。
メッツのGM職は、2018年6月にサンディー・アルダーソン氏が健康上の理由で退任してから空席のまま。現在は球団最高執行責任者ジェフ・ウイルポン氏が一時的に兼任している。球団は新GM候補としてミネソタ・ツインズ現GMのタッド・レビーン氏とトロント・ブルージェイズ現重役のベン・チェリントン氏にオファーを持ちかけたが、2人ともから面談を辞退されたと報じられている。
今季ナ・リーグ東地区4位のメッツは、2年連続でプレーオフ進出を逃した。ニューヨークという巨大なマーケットにあって、常に大勢のファンから注目を浴び、厳しい批判にさらされるGM職は最も困難な仕事だと見られている。
メッツは今週から面談が始まった新GM候補者の詳細について公式には明らかにしていないが、イング女史を含めて4人が有力候補として報じられている。他の3人はダグ・メルビン氏(元テキサスレンジャーズ、ミルウォーキー・ブリュワーズGM)、ゲーリー・ラロック氏(現セントルイス・カージナルズ育成部長)、デジョン・ワトソン氏(現ワシントン・ナショナルズ特別補佐)。
イング女史のMLBチームGM就任が噂されるのは今回が初めてではない。シカゴ大学でソフトボール・プレーヤーとして鳴らした女史は、1991年に同大卒業後、シカゴ・ホワイトソックスのインターンとしてキャリアを開始した。わずか4年後に史上最年少かつ女性として初めてのサラリー仲裁を勝ち取り、名を上げた。
その後、ニューヨーク・ヤンキースとロサンゼルス・ドジャーズでGM補佐を務め、2005年にはドジャーズのGM候補になった。その後も、シアトル・マリナーズ、サンディエゴ・パドレス、ロサンゼルス・アナハイムのGM候補として名前が挙がっている。2011年にドジャーズを離れ、現在はMLB本部でジョー・トーリ氏の部下として、MLBの国際部門を担当し、ドミニカ共和国、プエルトリコ、ベネズエラなどの諸国を頻繁に訪れている。
イング女史は2016年に経済紙『ADWEEK』による「スポーツ界における最もパワフルな女性30人」で21位に選ばれている(1位はテニスプレーヤーのセリーナ・ウィリアムズ)。アジア系女性という二重のマイノリティーとしてハンディキャップを抱えながら、イング女史はMLB組織の階段をかけ上ってきた。女史のメッツGM就任が実現すれば、MLBのみならずスポーツ界全体に新たな歴史が記されることになるだろう。
角谷剛