得点記録更新も、王氏との比較をやんわり拒んだイチロー 次なる標的は安打記録
マーリンズのイチローが、また新たなマイルストーンを打ち立てた。王貞治氏の持つプロ野球記録1967得点を更新したのだ。しかし、イチローは王氏へ敬意を示し、この記録に対して多くのことを語らなかった。
2015/04/29
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イチローと王氏の道程は全く違う
マーリンズのイチローが、また新たなマイルストーンを打ち立てた。25日のナショナルズ戦の8回に後続の本塁打で追加点のホームを踏み、日米通算1968得点(日本658、メジャー1310)をマーク。王貞治氏の持つプロ野球記録1967得点を更新した。
日本記録ながら、マーリンズ・パークの場内大型スクリーンは「日本人選手の新得点記録1968を達成」と表示。本拠地のファンからはスタンディングオベーションで祝福され、帽子を外して大歓声に応えた。
世界のホームラン王を上回る得点記録。だが、当のイチロー本人は、尊敬する王氏との比較をやんわりとこばんだ。
「試合数が違うので、比較をするのはフェアじゃない。日本ではシーズンが130試合しかないですから」
米メディアによると、イチローはこう切り出したという。ただ、最後に「王監督の記録は特別なもの。光栄です」と付け加え、王氏への敬意は隠さなかった。
確かに、イチローと王氏では「得点」とひとくくりにしても、その道程は全く違う。
王氏は周知の世界記録868本塁打。自らのバットで、その数だけゆっくりとダイヤモンドを一周してきた。総得点から本塁打を引いた数は1099得点。
逆にイチローは日米通算230本塁打。1番打者として先陣を切り、足で揺さぶりをかけ、時に盗塁やアクロバティックな身のこなしで本塁を狙ってきた。こちらは総得点から本塁打を引いた数では、1738得点となる。
試合数を比較しても、王氏はイチローより300試合以上少ない2831試合で到達。イチローはこの試合まで、日米通算3173試合に出場している。
比較、という作業をとるなら、同じリーディングヒッターか、アベレージヒッターとするべきだろう。
日本記録の得点上位では、歴代2位の1656得点に福本豊がいる。こちらは出場2401試合。1試合あたりの平均得点は「0.69」得点。対するイチローは同「0.62」得点。本塁打数はイチローの230本に対して、福本が208本と大差ない。日米の違いがあるため、単純な比較は難しいが、1番打者としていかに本塁に還ってくるか、という点においては福本にわずかに分がある。