通算583本塁打マグワイア氏が見せた父の顔。家族優先、パドレスBC退任の背景に2人の息子
2018/10/31
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マーク・マグワイア氏が3年間務めたサンディエゴ・パドレスのベンチコーチを今季限りで退任する意向と報じられた。理由は「家族との時間を優先させたい」とのこと。メジャー通算583本塁打の大砲が父親としての顔をのぞかせるのは、いまに始まったことではない。息子2人はいずれも野球少年で、幼い頃からそのプレーを見守ってきたのだ。
控えめにふるまっていたリトルリーグ観戦
マグワイア氏と初めて会ったのは、彼がロサンゼルス・ドジャースの打撃コーチに就いていたころ。彼の息子2人は居を構えるカリフォルニア州アーバインのリトルリーグのチームに所属し、私はそのアシスタント・コーチを務めていた。彼は何度か試合に足を運んでいた。
通常、リトルリーグの親たちはフェンスにかぶりつきで我が子を応援する。だが、マグワイア氏は大声をあげることなく、いつも目立たないようにグラウンドから少し離れたところで静かに試合を見守っていた。
いくら目立たないようにしても、「ビッグマック」の愛称を持つ196センチの巨体は隠れようもなかったが、あえて話しかけないことが暗黙の了解となっていた。決してマグワイア氏が気取っていたわけではない。目が合えば笑みを浮かべてあいさつするし、軽い立ち話をすることもあった。
いま思えば、いつもマグワイア氏が控えめにふるまっていた背景には、ドーピング問題も少なからずあったかもしれない。通算583本塁打を放った現役時代の成績は野球殿堂入りの条件を十分に満たしているが、現在も殿堂入りが実現していないのは本人がドーピングを認めたことが原因とみられている。
現役時代はまばゆいばかりの活躍で称賛を集めたが、引退後は汚名を背負って非難の嵐にさらされることになった。良くも悪くも注目を浴びる自分を隠し、息子たちに思う存分野球をやらせたかったのではないか。