田中将大が抱える、難しい選択 ライバル球団の成功例からNYメディアは「手術」のススメ
田中将大が右手首のけん炎と、右前腕部の張りを訴えて、29日に故障者リスト入り。同日先発予定だったレイズ戦の登板を回避した。GMは故障の程度は「非常に軽い」と強調した。
2015/04/30
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前腕の張りは「非常に軽い」というが……
恐れていた事態が起きてしまった。ヤンキースの田中将大の右腕が、また悲鳴を上げた。右手首のけん炎と、右前腕部の張りを訴えて、29日に故障者リスト入り。同日先発予定だったレイズ戦の登板を回避した。
ブライアン・キャッシュマンGMは「控えめに見ても、彼がローテーションに戻ってくるまで、1カ月はかかるだろう」と見通しを明かした。
今後7~10日間はノースローとし、患部の状態を再確認。問題がなければ、傘下マイナー戦にリハビリ登板し、スタミナ面の再強化を目指すという。
誰もが昨年7月に痛めた右肘のことが、脳裏をよぎっただろう。
内側側副じん帯の部分断裂が判明し、2カ月半離脱した。検査した3人のドクターの意見が「手術の必要はない」で一致したため、保存療法を選択。リハビリの末に9月下旬にメジャーマウンドへ復帰し、今季もここまでは順調に段階を踏んできているように映った。
MRI検査によると、右肘の状態には変化はなかったという。ただ、全治1年以上となるトミー・ジョン手術の可能性を問われた同GMは「そうなるかもしれないし、それは誰にもわからない」と答えた。否定も肯定もせず。ただ、田中の手術の可能性については、オフの間からこのコメントに終始しており、別段踏み込んだ発言ではない。
一方で同GMは「最悪の事態を避けるためにこうしている。肘を守りたい。前腕は、肘を守っている箇所だ」と話した。問題なのは右手首のけん炎ではなく、右前腕部の張りだ。
前腕の張りは、一般的に肘のじん帯が損傷する前兆であることがほとんど。無意識か、意識的なのかはわからないが、肘をかばうことで、前腕に張りが出るケースが多い。
トミー・ジョン手術を受ける投手も、肘がパンクする前に、前腕に異常を訴えることが目立つ。日本選手では13年に手術した藤川球児が、そのパターンだった。
田中本人は、肘と、今回の故障は関係ないと否定した。「何で痛くなったのかはわからない。肘は全然異常はないとのことだった。大きな異常は見られなかったのは良かった」と話している。
しかし田中の右肘じん帯には、昨年7月から変わらない「小さな裂け目」が入ったままだ。じん帯は自然修復はしない、というのが定説。ダメージは増えてはいないが、決して回復したわけでもない。
今回すぐにメスを入れることはなくても、トミー・ジョン手術というリスクの大きい爆弾は、今後もついて回るわけだ。