田中将大が抱える、難しい選択 ライバル球団の成功例からNYメディアは「手術」のススメ
田中将大が右手首のけん炎と、右前腕部の張りを訴えて、29日に故障者リスト入り。同日先発予定だったレイズ戦の登板を回避した。GMは故障の程度は「非常に軽い」と強調した。
2015/04/30
Getty Images
NYメディアが「手術」と騒ぎ立てる理由
全治1年以上の手術は、決断する時期も重要になってくる。仮に、今すぐ手術を決断すれば、来季の後半戦には戦列復帰のメドが立つ。逆に、6月以降に田中が復帰して不安を抱えたまま投げ続け、終盤に再び肘が痛みを訴えた場合には。その時には来季1シーズンの登板が絶望的となり、復帰時期は17年開幕までずれ込む。
再びニューヨークメディアは、「手術」「手術」の大合唱だ。彼らがこれだけ「手術」と騒ぎ立てるのには理由がある。ライバル球団メッツの若きエースの存在だ。
田中と同じ26歳のマット・ハービーは、13年8月に右肘内側側副じん帯を断裂。当初は田中と同様に保存療法を選択したが、改善が見られないと判断し、後にトミー・ジョン手術に踏み切った。昨シーズンは全休。今季は開幕から無傷の4連勝で、全盛期と変わらない98マイル(158キロ)の剛速球を連発。ここまで15勝6敗で2位に4.5ゲーム差をつけたぶっちぎり地区首位の象徴的存在だ。
この右腕の活躍も影響し、まるで田中に手術を迫るかのような論調が展開されている。
キャッシュマンGMは前腕の張りについて、「非常に軽い」と付け加えて発表した。本当に軽いものであれば、右肘への不安をあおるのもおかしい。最短でも1カ月後となるメジャー復帰後、18日のレイズ戦や23日のタイガース戦でもみせた圧巻のパフォーマンスを演じることは十分可能だ。
どうせ避けられない手術なら、早く踏み切るべきか。高いパフォーマンスで投げ続けられるなら、肘が完全にパンクするまでマウンドに立ち続けるべきか。難しく、悩ましい選択を迫られる。
キャッシュマンGMは昨年7月に保存療法を選択し、ここまで歩んできた課程を「全く後悔するところはない。最高の医療スタッフの助言に従い、事を進めてきた」と胸を張った。おそらく陣営は、今回も手術には動かず、まずはリハビリを経ての復帰を目指すだろう。
キャンプ初日には手術を念頭に置いた右肘への質問ばかりが続き、「結果を残し、右肘ではなく、試合に勝った、負けたが注目されるようにしたい」と誓っていた田中だが、その思いは叶わなかった。昨年に続く2度目のDL入りで、まずは患部の回復を待つしかない。
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