投のレジェンド、上原浩治 不惑で達成した「100勝、100S」大記録の価値
レッドソックスの上原浩治が、10日のブルージェイズ戦で日米通算「100勝100S」を達成した。イチローの記録が大きくクローズアップされるが、イチローを打のレジェンドとするならば、上原は投のレジェンドともいえるだろう。
2015/05/13
Getty Images
セーブ数はまだまだ積み上がる
巨人では新人だった99年に、20勝を挙げて鮮烈デビュー。07年に1シーズン限定で抑え起用され、その年32セーブを挙げているが、日本では主に先発投手として活躍してきた。
09年のメジャー移籍後も、まずは先発投手としての座にこだわった。だが、度重なるケガなどの影響もあり10年からリリーフに転向。13年のレッドソックス移籍後は、当初は中継ぎながら、シーズン途中に抑えに抜てきされ、ワールドシリーズ制覇に大きく貢献した。
先発での108勝の内訳は、日本106勝に対し、メジャーではわずか2勝。逆にセーブは、日本で33Sで、メジャーではオリオールズ、レンジャーズ、レッドソックスと在籍した全3球団で挙げて、これで67Sとなった。
投球スタイルは、直球とスプリットの2球種の割合が9割以上を占める。単純明快ながら、変化球としては対となるこのコンビネーションが威力抜群。特に上原のようなきれいな回転のフォーシームは、大リーグではなかなか見られない。球速は140km前後ながら、しっかりと空振りを奪える。
相手打者が常にスプリットを警戒しているからで、この2つの球種は片方だけでは成り立たない。フォーシームが走るからこそ、相手打者はワンバウンドになるようなスプリットにも手を出す。逆にスプリットが脳裏に焼き付いていると、初速と終速の差が少ないフォーシームに差し込まれ、空振りもしてしまう。
この2球種のコンビネーションを、さらに強力にしているのが類い希な高い制球力だ。9イニング換算での平均与四球率は、大リーグ通算で1.2。大リーグ平均は3.3前後で、通常2.0を切ったら優れた制球力の持ち主と評価される。出色の数字であることがよくわかる。
開幕時にクローザーだった42歳のロッキーズのラトロイ・ホーキンスは中継ぎ降格後に故障者リスト入りし、40歳のタイガースのジョー・ネーサンは右肘のトミー・ジョン手術を受けた。現役クローザーに限れば、40歳の上原はメジャー最年長といえる。不惑を迎えても衰えない制球力と、落差の鋭いスプリット。レジェンドのセーブ数はこの金字塔も通過点とし、まだまだ積み上がっていきそうだ。
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