キングと呼ばれる所以 母への気持ちを試合でぶつけたバッテリー
シアトルで愛され、球界のエースに成長したフェリックス・ヘルナンデス。母と離れて暮らすが活躍する姿を母国に届けている。そして亡き母への思いを秘めた控え捕手とともに大事な一戦に望んだ。
2015/05/14
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MLBも祝う母の日
母の日を記念して、各球場では乳がんの認知度を向上、および乳がん撲滅の研究のためにチャリティーが行われた。多くの選手もピンクを身にまとって試合に出場した。
シアトル・マリナーズの本拠地セーフコフィールドでは「キングコート」と呼ばれるセクションがあり、そこに座るファン全員が三振を意味する「K」のサインを持って応援する。この日は、そのKサインが通常の黄色ではなく、ピンクに彩られた。フィリックス・ヘルナンデスのあだ名「キング」にちなんだコーナーがあることで彼の地元での人気の高さがわかる。
母とは違う国で離れて暮らすヘルナンデス。スタンドの一部がピンクに彩られたこの日、ヘルナンデスとバッテリーを組む控え捕手のへスース・スークレは特別な思いを持って試合に望んだ。
`This is Mother`s Day so it`s pretty special for me. My mom`s in Venezuela and I miss her so much. I just want to go out there and try to help the team to win and dedicate this game to my mom and my wife.`
「今日は母の日だから自分にとっても特別なものだ。母はベネズエラにいて、とても寂しい。自分の役割を果たしてチームの勝利に貢献し、母と妻にこの試合をささげたかった」
今季はここまで6勝0敗。さらにこの日は通算2000三振を記録し、MLB歴代4番目の若さでの達成となった。
そしてこの日、特別な思いでマスクを被ったのが控え捕手のへスース・スクーレ。キャリアでもヘルナンデスを受けたのはたったの4度目。なぜならヘルナンデスとバッテリーを組むのはスタメン捕手のマイク・ズニーノがほとんど。普段はヘルナンデスの登板日に合わせて、ズニーノの休養日を監督が調整するほどである。
だがこの日は翌日が試合のないオフ日であったことからマクレンドン監督も正捕手に2日連続の休養日を与えたかった。監督はエースに意見を求めたが、ヘルナンデスはスークレにとって母の日がどういう意味を持つか理解していたため、すぐに了承した。