菊池雄星がメジャーで成功するには? 球種改良に手ごたえ、課題は“意図せず”動くボール
シアトル・マリナーズの菊池雄星投手が、21日に行われる「2019 MGM MLB Opening Series」のオークランド・アスレチックス戦(東京ドーム)に先発登板する。既に適応力の高さを知らしめている左腕だが、成功するポイントは、メジャー球対策にある。
2019/03/19
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海を渡って変化した投球術
「2019 MGM MLB Opening Series」の第2戦に菊池雄星が先発する。
高校1年冬から夢見てきたメジャーリーグの舞台で、彼がどのようなピッチングを見せるかが注目されるが、オープン戦を振り返りながら、彼がメジャーで成功していくためのポイントを整理してみた。
日本人メジャーリーガーの初年度の課題として、メジャー球への対応がある。来日記者会見で菊池は「11月からメジャーのボールを触ってトレーニングをしてきて、結構、行けるかなと思ったんですけど、アリゾナに入ると、乾燥している気候もあって、どこにボールが行くかわからなかった」とボールへの対応が自身も例外ではなかったと認めている。日を追うごとに順応してきているが、今すぐに完成というよりも、1年間でアジャストしていくことになるだろう。
まだオープン戦の数試合しか投げていないとはいえ、メジャーリーガーになってからの菊池には日本時代と変化している点が二つある。
一つ目は、ストライクゾーン勝負が増えていることだ。これは、オープン戦のピッチングからも明らかで、カウントを有利に持っていく姿勢はメジャーへ移ってから様変わりした。菊池は「積極的にストライクを取りに行くことを言われている」というし、サービス監督が来日の記者会見でも「(雄星の投げるボールは)ストライクゾーンに決まる」と語っていることから、チームとしての共通認識があると容易に想像できる。
二つ目は、菊池が投げるゾーンが高く設定されていることだ。
実は、これは偶然ではなく、メジャーリーガーの打者の対策として、菊池が取り組んでいることなのだ。
というのも、昨今のメジャーリーグは、「フライボールレボリューション」が巻き起こっている。ゴロを打ってヒットにしていくより、ライナーやフライボールの方がヒットになる確率が上がると証明されていて、打者の多くが意図してフライを打つようになっている。あるチームのスプリングトレーニングの練習場には2メートルの壁を用意していて、その上を打つ練習をしているとも聞く。今の時代、フライボール打ちは必然の流れだ。
そのフライボールレボリューションの対策として、フォーシームを高めに投げるという配球が求められているのだ。低めを捨ててフライを打ちやすいコースを狙ってくるから、フォーシームを高めに投げて力で押し込んでいくということである。