田澤純一は、「勝利の方程式」を担う絶対的なセットアッパー【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、レッドソックスの主力セットアパーとして登板し続けている田澤純一ついてだ。
2015/05/19
Getty Images
「最高の手本」とともにキャリアを積み重ねる
田澤がトミー・ジョン手術から復帰して以後の、レッドソックスの救援投手陣を登板試合順に並べてみた。
2012年のクローザーはアセべス、セットアッパーはパディーヤ、ミラー、そして阪神でも投げたアチソン。田澤は中継ぎ投手の一人にすぎなかった。しかし2013年、新加入の上原浩治がクローザーに固定されるとともに、田澤はセットアッパーの地位を確立した。ここ3年、レッドソックスの「勝利の方程式」は8回田澤、9回上原浩治。2人の日本人投手が担っている。
このコラムでも紹介したが、上原浩治はNPB史上最も制球力が高い投手だ。MLBに移籍してからも、リーグトップクラスの制球力を維持している。
田澤はブルペンで上原とともにウォームアップをし、その投球を見る中で、制球力の重要さを学んだのではないか。
上原浩治という「最高の手本」とともにプレーする中で、田澤は進化を遂げたのだと思われる。
相変わらず田澤は厳しい局面でマウンドに上がっている。今季はデビュー戦で痛い目にあったアレックス・ロドリゲスから6年ぶりに2本目になる決勝本塁打を打たれた。しかし信頼感はいささかも揺るがない。重要な局面で起用され続けている。
田澤の推定年俸の推移を見ていこう。
チームに不可欠の主力選手でありながら、今季の年俸は日本円で2.7億円。田中将大の8分の1に過ぎない。日本でもアメリカでも救援投手の年俸は先発投手よりも低い。
また田澤はFA権を取得する年限に達していないため、年俸は低く抑えられている。2年後、FA権を取得するときまで、田澤が好成績を収めていれば、年俸はMLBのセットアッパーのトップクラスに跳ね上がるはずだ。
田澤はNPBを経ずにMLBに挑戦したので、7年のキャリアを重ねながらもまだ20代の若さだ。
日本生まれ、MLB育ちの田澤が今後どんな成績を残していくのか、楽しみは尽きない。
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