なぜ藤川球児を戦力外? レンジャーズ苦渋の決断の背景にMLBルールの存在
レンジャーズは17日、藤川球児を戦力外とし、メジャー40人枠から外したと発表した。ウエーバーにかけられ、27日までに今後の処遇について決める。球団にとっては、メジャーのルール上、苦渋の決断だったともいえる。
2015/05/20
Getty Images
システム上のしがらみを残念がったバニスター監督
話をさかのぼれば、藤川のDLからの復帰自体、メジャー独特のルールに強制されたものだった。DLに入っていた藤川は、4月14日にリハビリアサインメントされ、傘下2Aフリスコで調整登板を始めた。このリハビリ登板期間は30日間と規定され、その期限が復帰前日の今月13日までだった。
その後3Aに移り、マイナーでは11試合に投げて防御率4.35。首脳陣はできれば直球によりキレを戻すため、もう少しリハビリ登板を続けさせたかったのだろう。メジャー復帰させる直前に藤川にマイナーで調整を続けるよう、降格を受け入れてくれないか打診したが、それを拒否された。
準備が整い復帰させたかったのではなく、復帰させるしか道がなかったのだ。
ダニエルズGMによれば、藤川本人には、マイナーではプレーしたくないという、強い思いがあったという。すでに自分の投球に自信を取り戻していたのか、調整するにしてもメジャーで投げ続ける中で可能と考えていたのか。
ジェフ・バニスター監督は「以前のような速球ではなかった。我々には時間がなかったんだ。彼が良くなるまで、待てなかった」とシステム上のしがらみを残念がった。藤川が不要だったわけでは決してない。マイナーで復調させ、トミー・ジョン手術から丸2年が経過する夏場にいい状態で戻ってきてほしかった。それでもメジャーの複雑なルールが、それを許さなかった。
ウエーバーで手を挙げる球団が現れるメドがないのだろう。ダニエルズGMは「ウエーバー期間があければ、藤川の考えも変わるかもしれない。アメリカでプレーし続けるならマイナーに行ってほしい」と藤川の心変わりにわずかな期待を寄せる。ただ、ここまでかたくなにマイナー行きを拒否した背景からも、退団して日本プロ野球に復帰というのが現実的な線だろう。
複雑に絡み合ったルールがどこか一つでも違っていれば、藤川は今頃マイナーで、完全復活へ向けて目の色を変えていたかもしれない。
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