菊池雄星、立て直しの要因は「個々の対決」 “絶望的な立ち上がり”から流れ呼んだ経験を糧に【雄星リポート第3戦】
シアトル・マリナーズの菊池雄星投手が5日(日本時間6日)、敵地ギャランティード・レイト・フィールドでのシカゴ・ホワイトソックス戦に先発登板したが、5回6失点で勝ち負け付かず。メジャー3試合目での初勝利はならなかった。それでも序盤の大量失点から一転、2巡目以降の対戦で修正力を見せ次戦以降にも期待が持てる内容だった。
2019/04/06
Getty Images
修正力が発揮された2巡目以降
1回裏の失策から始まった不運は、この日の菊池には厳しい試練だった。
一つ目の失策は仕方がないにしても、無死一、二塁から併殺打に打ち取ったはずの3番・アブレイユの遊失での1失点はガクッとくるところはあっただろう。そうしたミスにつけ込んでくるのが野球の要素の一つだが、その流れから2回で6点を失いながら、チームととともに、試合を作り直すことができたのは、菊池にとって新たな一面を見せたとも言えるだろう。
この日の菊池は調子が悪いわけではなかった。ややカーブの制球がいつもほどではなかったとはいえ、ストレートは押し込めていたし、スライダーで打ち取る場面もいくつかあった。それは1回裏の失策でピンチを招いた後の落ち着いたピッチングにも表れているが、菊池がズルズル引き下がらなかったのは、1、2回に痛打を浴びた選手に対して、2打席目以降にはしっかりと抑えきることができたことだ。
注目したのは、1回に中越の勝ち越し打を浴びたモンカダとの対戦だ。
無死満塁で迎えた場面で、菊池は三振を狙いに行っていた。カーブとスライダーを投げて、3球で追い込んだ。しかし、スライダーを決めきれずにカウント2−2からのストレートをはじき返された。配球が悪いわけではない。ストレートで押し込めなかったのは本人からすれば悔いが残ったはずだ。
しかし、モンカダとの2打席目。
それは2回裏に回ってきた。6点目を喫したあとの対戦だったが、ここで菊池はカーブでストライクを取ると、2球目にチェンジアップを投げて追い込むと、スライダーで空振り三振に切ってとった。
菊池は他にも2安打を浴びていた2番のアンダーソンとの3打席目の対戦では、左飛。3番のアブレイユ、4番のカスティーヨの第3打席はともに三振に斬っている。また、ホワイトソックスにはファンも期待するルーキーのイーロイ・ヒメネス外野手がいたが、菊池は3打席ノーヒットに抑えた。
2回で6失点という、絶望的な立ち上がりの中で、個々の対決からゲーム展開を打開していくことで、立て直すことができた。6回、チームは一時逆転したが、それは偶然の産物ではなく、流れをチームとともに呼び込むことができたからだ。リリーフ陣が崩れて、初勝利はお預けとなったが、この経験が菊池にとっての血となり肉となっていくはずだ。