ベテランの球審ほど誤審が多い ――ボストン大の研究が呼ぶ波紋
2019/04/09
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ハイテク技術利用へのステップ
2018年のMLBには89人の審判員が在籍している。彼らは全員が男性で平均年齢は46歳、平均経験年数は13年だ。1人の審判は平均して1シーズンに112試合に参加し、28試合で球審を務め、4200球の投球を判定する。
論文はボール・ストライクを人間の眼だけで判定することの困難さに触れ、MLBがそこにハイテク技術を活用しないことに疑問を呈し、結論を以下のように結んでいる。
― メジャーリーグは変化を恐れるべきではなく、全ての投球が公式ルールブックに記されたストライクゾーンによって判定されることを目標にすべきだ。ハイテクの利用と若い有能な審判員を起用することは重要なステップになるだろう。1年に3万4000回を超える誤審が無くなったと仮定して。それが選手やファンに与える影響を想像してほしい。ファンは選手に対するときと同じように、若く才能に溢れた審判員や年齢による衰えを克服するベテラン審判員にも賞賛を送るだろう。
― 正確な判定を求めるファンの要求はますます増大するだろう。それに答えるだけの能力をハイテクの技術を借りずに人間の力だけで達成できるとは考えにくい。審判員の能力に年齢のピークがあることがわかった以上、審判員の採用方針と定年制も調整されるべきである。既にある技術を活用し、成果主義に基づくシステムを採用することによって、野球と言うゲームの人間的な側面も尊重し続けることは可能だ。少なくとも、ハイテク技術を使った判定を導入しても、現在の審判員たちの結束を危険に及ぼすことにはならない。
角谷剛