曲がらないスライダー、自己ワースト被安打10…それでも菊池雄星がメジャー初勝利を掴めた理由とは【雄星リポート第6戦】
シアトル・マリナーズの菊池雄星投手が20日(日本時間21日)、敵地でのエンゼルス戦に先発登板し、メジャー初勝利を挙げた。5回10安打4失点と苦しい投球だったにもかかわらず勝ち星を掴んだのには、菊池が続けてきた“姿勢”にある。
2019/04/21
Getty Images
菊池雄星が勝てた理由
ただ、野球とは面白いもので、それでも菊池には勝利が転がり込んだ。
それは彼自身が、これまでクオリティスタート(QS)のキープや勝利投手の権利を得ながら勝ち星がつかない中でも、淡々と自身の投球を続けてきたからだろう。
この日の菊池のピッチングで印象残ったのは、5回裏、先頭の3番・シモンズに二塁打を打たれた場面だ。
このとき、菊池は、シモンズに対して、2球連続してスライダーを投じている。そして、それをはじき返された。
この日のスライダーの切れでは打ち取れるはずもない。しかし、それでも彼がスライダーにこだわったのは、自身のピッチングを組み立てていくには、この球が必要だと感じているからに他ならない。
もちろん、打たれないピッチングをしていくことも大事だが、調子が悪い中でもなんとか打開していこうという姿勢は、1年間を通して考えた時に、絶対に必要な時間だった。5回10安打4失点でも、初勝利を挙げられたのは、そうした姿勢をずっと続けてきたからだ。
野球とはこんなものだ。だからこそ、マウンドでは自分のピッチングを続けていくしかない。それを改めて感じたメジャー初勝利だったに違いない。
氏原英明