マリナーズ・菊池雄星、自身メジャー初の2桁奪三振「2017年に近づいてきた」【雄星リポート第8戦】
シアトル・マリナーズの菊池雄星が3日(日本時間4日)、敵地・クリーブランドでのインディアンス戦に登板し、7回を投げて3安打1失点10三振を奪う好投を見せた。打線の援護に恵まれず、勝敗はつかなかったものの、今季の中では最高と言えるピッチングでメジャー初の2桁奪三振をマークした。
2019/05/05
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ショートスタートで手応え掴んだスライダー
菊池は前回のレンジャーズ戦で1イニングのみのショートスタートを経験したが、実は、その際に、スライダーに手応えをつかんでいた。登板3日前のブルペンで、指の押し込みを強くしてみると理想的な曲がりに変化したという。
日本時代の2017年、菊池はストレートとスライダーを武器にしたパワーピッチングで、最多勝と防御率のタイトルを獲得した。昨季は故障がちで、今季はメジャー球の対応に苦慮して、スライダーが理想的な変化を作り出せないでいたが、もがきながら少しずつボールにアジャストし、完成に近い形のスライダーを手にした。
また、菊池はメジャー移籍後、ストレートを高めに投げる配球にかえている。これはフライボール対策の打者に対応するためという側面があったが、もう一つ、高めのストレートとスライダーのコンビネーションを生み出すことでピッチトンネルを構成するという狙いもあった。
しかし、前々回まではスライダーを思ったように曲げることができず、ピッチングデザインがうまくいっていなかった。そこで、スライダーの改良がうまくハマり、この日のピッチングにつながった。「2017年に近づいてきた」と菊池はピッチングの手応えをそう語ったが、それはピッチトンネルを構成していく上で、必要なスライダーが自在に操れるようになったからだ。
さらに、この日は、ストレートの最速が156キロを計測し、チェンジアップを要所で投げ分けることができた。スライダーがキレ始めたことで、全ての球種に好影響となって打者を混乱させていたのだろう。
メジャーのデビュー戦から最高のピッチングを求められることも多いが、うまくいかない中で、投げるごとにアジャストしてきた。この日は勝利がつかなかったものの、相手投手との投げ合いにも負けず、7回を投げ抜いたのは大きな自信になったはずだ。
氏原英明