100年の時を経て肩を並べる2人の安打製造機 イチローとタイ・カッブの共通点
メジャー通算安打記録で、「野球の神様」の数字を抜いたイチロー。しかし、そのことに対しては実に淡々とした反応だった。だが、次はどうだろうか。「神様」の先には「球聖」が待っている。歴代2位の4191安打を残したタイ・カッブである。
2015/05/25
記録の質問も、イチローの反応は淡々
マーリンズ・イチローが22日のオリオールズ戦で、ベーブ・ルースを抜くメジャー通算2874安打目をマークした。その4日前、ダイヤモンドバックス戦でルースに並んだ際には、『MLB.com』の取材に以下のように答えている。
「試合後になって聞いたが、考えてもみなかった。確かに同じ安打数になったけれど、彼とは全くタイプが違うので、比較はできないし、することはフェアではないと思う」
野球の神様に並んだ、抜いた、と聞いても、イチローの反応は淡々としたものだった。相手は世界のホームラン王。イチローの言葉通り、スタイルが全く違う。騷ぐ周囲を他所に、どこか申し訳なさそうに率直な感想を述べるだけだった。
だが、次はどうだろうか。「神様」の先には「球聖」が待っている。歴代2位の4191安打を残したタイ・カッブである。
このオリオールズ戦で2安打し、イチローはメジャー通算2875安打。24日の同カードでも1安打し、メル・オットに並ぶ歴代41位の2876安打とした。日本での1278安打を足すと、日米通算4153安打となる。カッブの安打数まで、あと「38」本。今季中にも、十分届く距離まできた。
カッブの全盛期は20世紀初頭。ルースが本塁打王として君臨する前まで、大リーグ最強の打者として名を馳せてきた。
「単打と走塁の応酬こそが、ベースボールの最大の魅力である」と語ったカッブは、そのプレースタイルを貫き通した。ずんぐりむっくりでパワーに頼った打撃をみせるルースを、時には批判さえした。厳しい自己節制で、現役晩年まで1m85cm、79kgのスリムな体を維持。通算打率.366は、今も大リーグ記録としてさん然と輝いている。