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菊池雄星、なくならない日本時代の“悪癖” 課題は援護直後の慎重すぎる投球【雄星リポート第11戦】

シアトル・マリナーズの菊池雄星投手が19日(日本時間20日)、本拠地T-モバイルパークでのミネソタ・ツインズ戦に登板し、6回を5安打3失点(自責1)6奪三振の好投を見せ、3勝目を挙げた。

2019/05/20

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11戦中6戦で援護直後に失点

 菊池はクオリティスタート(QS)をしっかりキープしていたし、結果的には褒められた内容だったかもしれない。しかし、厳しい見方をすると、5、6回のピッチングにこそ、彼の今後の課題が見えたとも言える。
 
 というのも、菊池のメジャーデビューからの試合を振り返ってみると、今日の試合を含めて、11戦で6試合、味方が得点を挙げたあとに失点している。もちろん、得点後というのは、相手が反撃態勢に入るものだが、その中で失点を許してしまうと試合の流れを呼び込むことはできない。流れを呼び込む機会を失っているとも言えるのだ。
 
 特に、今日の試合では、3イニングを投手戦で推移して、4回裏にマリナーズが先制した。5回表のツインズは下位打線から始まったにも関わらず、菊池は慎重になり、8、9番を連続四球で出すという最悪の形を作っている。
 
 菊池のメジャーに移ってからの悪癖として、「このイニングを抑えなければいけない」と慎重になればなるほど、低めをつき過ぎてしまうところだ。メジャーに移ってからの菊池というのは、強いストレートを高めに投じていくことで、ファールや空振りを奪う。変化球と組み合わせながら、打ち取っていくはずなのだが、慎重になると、日本時代の菊池に戻ってしまうのだ。
 
 これは長年染み付いた彼のピッチングスタイルだから、なかなか取り払われないというのはある。ただ、今後、今年1年だけではなく、メジャーでの活躍の度合いを高めていくためには、乗り越えていかなくてはいけない大きな障壁だろう。
 
 6回表のピッチングは圧巻だった。
 彼の中でこのイニングで終わりというのが、球数的にも予想できた。だから、菊池は思い切り腕を振り、相手打者に向かっていくことができて、2三振を含む三者凡退で圧倒することができた。その違いは何かを今後考えていくべきだろう。
 
 この日の菊池は、ボール自体は良かったと思う。
 
 先にも書いたように、大胆に攻め、コントロールミスが甘いところに行かず、バッターを押し込めていた。浴びた被安打の5つがすべてシングルだったことは、その証とも言えるだろう。
 
 それだけに、5回のピッチングはもったいなかった。
 5回の菊池にはなく、6回の菊池にあったものは何か。それを整理することで、彼の活躍度合いはさらに高まっていくはずだ。
 
 
氏原英明

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