「大谷を花巻東に連れてきたのは雄星なんです」。大谷翔平と菊池雄星が歩んだ道、佐々木監督の証言
菊池雄星投手のシアトル・マリナーズと、大谷翔平投手擁するロサンゼルス・エンゼルスが30日(日本時間31日)に対戦する。マリナーズは菊池が先発するため、大谷が出場すれば、メジャーリーグの舞台で初対決となる。
2019/05/30
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花巻東・佐々木監督が語る2人
実は、花巻東高の監督・佐々木洋は、中学時代から有名だった大谷の勧誘をほとんどしていない。春夏連続の甲子園出場をしていて、それほど時間の余裕がなかったと言うのもあるが、佐々木なりに考えてのことだ。
佐々木がこう証言している。
「雄星たちの代が果たしたことによって、当時の岩手県は大騒ぎになっていました。これで大谷がうちに入ってこないのなら、それは縁がないということなんだろうなと思ったんです。部長からはそんなことを言わずに、頭を下げてくださいと言われたんですけど、雄星が日米20球団と争奪戦になるほどに世間を騒がせて、岩手県を一人で変えた。それほどまでになっているのに、大谷に選んでもらえないのなら縁がない。いわば、大谷を花巻東に連れてきたのは雄星なんです」
大谷は、事実、あの時の雄星に憧れていた。入学後、大谷は高校2年生になってからの学校案内のパンフレットにおいて、菊池への思いと自分の目標について、こう綴っている。
「僕が中学3年生の時に見た光景がある。岩手県の人が熱狂して岩手のチームを応援していた事。高校野球で岩手が一つになっていた事。その花巻東には世界を巻き込み日本中を騒がせたすごい男がいた。だから、僕も雄星さんのように尊敬される選手になりたい。愛されるプロ野球選手になりたい。ドラフト1位で。僕もドラフト1位で・・・」
佐々木は、さらにこうもいっている。
「私は順番が逆だったら、人生も違っていたのではないかと思っています。私自身が雄星に申し訳ないと思っているのは、あれほどの選手を僕が指導するのが初めてだったことです。一方の大谷は雄星を育てる中で蓄積した成功と失敗で、指導することができました。大谷は近道ができた。もし、逆だったら、雄星の方が先にメジャーに行っていたと思っています」
ともかくたった1年違いで同じ高校出身の選手がメジャーの舞台に並び立つのだ。この事実はやはりすごいとしか言いようがない。