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マリナーズ・菊池雄星、今季3敗目 立ちはだかるメジャーの壁、トラウトとの対戦を反省材料に【雄星リポート第13戦】

 シアトル・マリナーズの菊池雄星投手が30日(日本時間31日)、本拠地でのロサンゼルス・エンゼルス戦に先発し、4回途中6失点でマウンドを降りて3敗目を喫した。

2019/05/31

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ほぼストレートだけでの勝負

 前回登板に続く3回1/3のKOで、立ちはだかったメジャーの大きな壁に苦しんでいる印象だ。
 
 この日の菊池は、ストレートの球速が151キロを計測。前回に比べて球速自体は改善されていたが、初回にコントロールが安定せず、1番のフレッチャー、2番のトラウトに連続四球。3番のプホルスに左翼前安打を浴びてあっさりと先制を許した。ズルズルと悪い方向へと引き込まれ、抑えきれなかった。
 
 1回のその後のピンチは後続を抑えたものの、2回表には、カルフーンの右翼本塁打と1死一、二塁から、トラウトにライト前に落とされて2失点を喫した。3回表にはプエロに一発を浴びると、4回表には1死一、二塁からトラウトに左翼線を破られさらに2点を献上し、マウンドを降りた。
  
 菊池は前回登板のアスレチックス戦でカーブを狙い打たれていたが、この日はストレート、カーブをともに低めを意識。丹念についたつもりがストライクゾーンを外れ悪いカウントを作ってしまい、苦し紛れのストレートを投げざるを得ない状況に追い込まれていた。前回KOを引きずりすぎてしまっていたというわけだ。
 
 シーズン開幕の頃はストレート、カーブを中心に組み立ててきた。それは、菊池のカーブの軌道に相手打線が戸惑っていたこともあったからだ。しかし、情報を各球団が得ることになり、そう簡単な球ではなくなっていた。
 
 そこで、スライダーをカウント球に使うこともできるようになっていたが、前回登板から、スライダーの多投を避けるようになった。右打者のアウトコースに入れるバックドアのスライダーは、メジャー移籍後の持ち味でもあったが、それもこの日は、4回になって2球を投げた程度だった。
 
 菊池の持ち味であるはずのスライダーが右打者の低めに落とす斜めの変化しか使うことができなかった。カウントが苦しくなれば、ボールになるスライダーは見逃され、ストレートとカーブで勝負せざるを得ない状況を作っていたのだ。さらに、前回はカーブを狙われていたから慎重になっていたし、スライダーはボール球か甘いところに来るかのどちらかだから、打者からすれば絞りやすかったに違いない。いわば、今日の菊池はほぼストレートだけで勝負していたようなものだった。
 
 これからの課題はスライダーになる。
 順調だった時よりスライダーの多投を嫌っているのが、戦略上のものなのか、フォームによるズレが起きているのかは分からない。しかし、スライダーが改善されない限りは、今日のようなピッチングをまた繰り返すだろう。
 
 この日、最後の打者になったトラウトとの対戦が反省材料になる。
 ストレートとスライダーを交互に投げ、インコースに糸を引いたようなキレのあるストレートを投げられていたが、スライダーには対応されていた。これは本来の菊池ではない。
 
 悪くなった自身のピッチングの流れをどう変えていくのか。メジャー13戦目にして立ちはだかった壁はさらなる進化を目指す上での大きな糧になるはずだ。連続KO負けを力に変えて。次戦の奮起を期待したい。
 
 
氏原英明



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