大谷翔平は「甲腸連動」を使えてはいるが……
通常のスポーツ選手たち、ほとんどすべてのスポーツ選手の股関節は、ドタドタ、ドサドサとガッチリと固まって動きづらい状態になってしまっているのです。一方で、クリスティアーノ・ロナウドなど、ほんの一握りの世界のトップアスリートが絶好調のときだけは、まさにカミソリのような切れ味のいい股関節に仕上がっています。日本のアスリート史上屈指の股関節使いだったイチロー、さらにはMLBでも二刀流を実践する大谷翔平についての部分を、高岡英夫最新刊『キレッキレ股関節でパフォーマンスは上がる!』から一部抜粋で公開!(後編)
2019/06/11
Getty Images
大谷の優れた肩甲骨でもまだ60%ほど
一方、「上の上」、トップオブトップの選手は開発の余地があるのでしょうか?
これは皆さんも気になるところでしょうし、それを知ることで肚が決まり、アスリートとして生きる上で軸がぶれなくなるはずなので、その疑問にハッキリとお答えしておきましょう。
実はトップオブトップの選手でも、開発の余地はいくらでもあるのです。
科学者としての立場から見れば、まだまだ開発は半ばといったところです。
たとえば、テニスの錦織圭。彼はテニスという身体の大きさが重要な種目で、小柄な体格ながら大健闘しています。しかし、男子のプロテニスの世界でトップを目指すのなら、身長で190センチは欲しいところです。
錦織は180センチ弱ですから、大変厳しい戦いが続いています。世界ランキングはシングルスで一時4位まで行きましたが、いまは落ちてしまいました。しかし、あそこまで活躍できるということは、あの身体の小ささから考えると、かなり開発は進んでいる選手と言えます。
そんな錦織でも、肩甲骨、肩関節、腸骨、股関節と見ていくと、まだまだ開発する余地は残っています。
ましてや世界のトップクラスに入っていないような選手だと、肩甲骨、肩関節、腸骨、股関節について、いくらでも開発の余地があると言えるのです。
大谷翔平の肩甲骨も、「肩甲骨本」でかなり褒めていますが、科学的に推測できる究極の開発度で言えば60パーセント前後でしょう。
また肩甲骨と股関節の開発度は、種目によってもある程度違ってきます。
サッカーのような競技は、肩甲骨の開発が低い傾向にあります。だから肩甲骨の開発に取り組むと、選手のパフォーマンスはグンとよくなります。他の選手が注目していない分、チャンスが大きいとも言えるでしょう。
第1回はこちら
高岡英夫(たかおか・ひでお)
運動科学者、高度能力学者、「ゆる」開発者。運動科学総合研究所所長、NPO法人日本ゆる協会理事長。
東京大学卒業後、同大学院教育学研究科を修了。東大大学院時代に西洋科学と東洋哲学を統合した「運動科学」を創始し、
人間の高度能力と身体意識の研究にたずさわる。オリンピック選手、企業経営者、芸術家などを指導しながら、年齢・性別を問わず幅広い人々の身体・脳機能を高める「ゆる体操」をはじめ「身体意識開発法」「総合呼吸法」「ゆるケアサイズ」など、多くの「YURUPRACTICE(ゆるプラクティス)」を開発。多くの人々に支持されている。
<書籍概要>
『キレッキレ股関節でパフォーマンスは上がる!』
定価:本体1700円+税
股関節を三次元に使いこなすことが、超一流選手への最短距離。最も鈍感な関節がフル稼働!トップアスリートは爆発力が違う。『股関節脳』理論に基づく「走る」「打つ」「投げる」「蹴る」の力を引き出す体操を紹介。
『キレッキレ股関節』がスポーツパフォーマンスにおいてどんな働きをするのか、科学的な観点を多彩に使って分析し、読者の皆さんに「なるほど」と興味深く納得していただきながら、自分が『キレッキレ股関節』になるための画期的なトレーニングの方法を順次お届けしていく一冊。
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