菊池雄星には「第4の球種」が必要。5回1失点で復調気配、スライダー以外に頼れる武器を【雄星リポート第15戦】
シアトル・マリナーズの菊池雄星が敵地ミネアポリスでのツインズ戦に登板し、5回を6安打1失点にまとめ、先発の役割を果たした。勝敗はつかなかったものの、3試合連続で4回途中KOされていた中で復調の兆しを見せた。
2019/06/14
Getty Images
この日、改善を見せたのはやはりスライダーだった。
球速は90マイル近くを計測。打者の手元で鋭く曲がり空振りを多くとった。ここ数試合、打ち込まれていた背景もあって1、2回は慎重に立ち回った分、ピンチを招く苦しい場面もあったが、2回の無死満塁のピンチでは2者連続三振を含む圧巻のピッチングで無失点に抑えた。特に、9番バイロン・バクストンには、インコースにストレートとスライダーのコンビネーションで立ち向かい、スライダーで空振り三振。圧巻のピッチングだった。
一方、3回裏には1死からネルソン・クルーズにホームランを浴びた。
こちらは、インコースのスライダーが大きく膨らみ、甘く入ったものだった。紙一重の差で打者には絶好球となってしまう難しさを感じたに違いない。しかし、それはインコースに投げ込んでいくことで見えた課題で、それらすべてがプラスになるだろう。
配球面でも前回の反省を活かせていた。
右打者の配球は、インコースを主体にしていたものの、外のストレートを挟むなど、打者の目線を外に向けていた。スライダーも外から入れてくるなどの工夫も見られていた。
ストレートはここ数試合、打ち込まれていた時も悪いボールではなかった。スライダーが切れず、配球も単調だったから狙われたりしたものの、ボールそのものはスピードもキレもあった。この日は、特に、高めのストレートがさえ、キレを取り戻したスライダーとのコンビネーションが復活したと言えるだろう。
ただ、今後を考えると、この2球種とカウントを取る球に使うカーブだけでは、抑えることはできない。やはり第4の球種は使っていくべきだろう。
ノックアウトが続いたことで、ここ数試合は余裕がなかったというのは事実だ。スライダーのキレを取り戻すことに必死で、ピッチングをデザインできないというのが実情だっただろう。
だが、今後、スライダーが再びキレを失ってしまうことは長いシーズンの中で起きるだろう。そうなった時に、この数試合のようになってしまわないために、第4の球種をどんどん使えるボールにしていくことが求められる。
メジャーリーグで戦っていくためには、同じ轍を踏まないことが重要だ。
スライダーがキレを取り戻したのは明るい兆しだが、この数試合の不調から何を学んだか。それが今後の菊池にとって、非常に大きな意味を持ってくるはずだ。
氏原英明