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オオタニは別格の“神”、今後はマッケイがカギ握る…米スポーツメディアが二刀流のトレンドを展望

2019/07/02

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大谷が成功できた2つの理由

 以下は筆者抄訳。
 
• 大谷の神のような技量は誰にも真似ができない。だが、この週末から二刀流ショーに参加したマッケイが成功するようなら、同時にピッチングとバッティングを育成するという貴重な青写真を他のMLBチームに提供するだろう。
 
• 先週の土曜の夜、「大谷翔平プロジェクト」は大きな節目を迎えた。大谷本人がやったことではなく、タンパベイ・レイズの二刀流有力候補ブレンダン・マッケイがメジャーデビューを果たしたのだ。
 
• 現在のところ、大谷は過去100年間において唯一、同じシーズンに投手と打者の両方でレギュラーとして出場できるMLB選手だ。大谷のようにキャリアの初めから二刀流選手として育成される機会を持てる選手が他に出るかどうかもわからない。マッケイの試みが将来にわたって成功するか、あるいは失敗に終わるかで、今後のメジャーの二刀流に対する方向を左右することになるかもしれない。
 
• 少なくともマッケイはドラフトされたときから、レイズはマッケイを二刀流として育成する方針を発表し、25カ月がたった今でもそのままだ。
 
• アマチュアまでは二刀流で活躍する選手は多いが、その殆どがプロ入り後は投手と打者のどちらかを選ぶ。その理由はシンプルだ。投打両方の練習をこなすということは、体への負担も倍になることを意味するのだ。若い選手でも、投打両方で成長しながら、かつ故障をしないでいることは困難だ。さらに投打を同じペースでレベルアップしなくてはいけない。投手としては3Aレベル、打者としては1Aレベル、そんな選手を昇格させるわけにはいかないだろう。
 
• 大谷が投打両方で世界的なレベルの選手になれたことには2つの理由がある。1つは日本のプロ野球のレベルだ。NPBのトップレベルはマイナーよりは上だが、MLBよりは劣る。大谷にとっては、易し過ぎることはないが、厳し過ぎることもない、ほどよいレベルで、バランスよく成長することが出来た。NPBで新人だった頃の大谷は今のようなレベルではなかった。日本の中でも十分なだけの競争はあったのだ。大谷が18歳のとき、ルーキーイヤーの打撃成績は打率.238、OPS.660だったし、投手成績は防御率4.23で、61回2/3を投げて奪三振はわずかに46個で与四球は33個だった。だが、NPBのレベルは大谷にどちらかをあきらめさせるほどには高くなかった。
 
• 2つ目の理由は大谷が他とは比べようもないほどの恵まれたアスリート能力を天から授かっていたことだ。165キロの速球を投げ、鋭い変化球もマスターし、3割を越える打率を可能にする能力、選球眼、パワー、そしてシーズン半ばで2桁の盗塁をするスピード、これらの能力をすべて備えた人間はこの地球上には存在しない。少なくとも私は見たことがない。
 
• マッケイは極めて有望だ。だが、大谷のレベルではない。大谷の才能はマッケイよりはるかに大きい。大谷はマッケイよりバッティングが上手く、パワーがあり、速い球を投げ、そして速く走る。大谷は神なのだ。マッケイは非常に稀な才能をもった人間に過ぎない。マッケイは圧倒的ではないが制球力に長けたピッチャー、ある程度はパワーもあるアベレージヒッターにはなれるだろう。
 
• もしマッケイが二刀流を続けられない場合、そのとき我々は次世代の大谷が出現するまで、もう1世紀待たなくてはいけないことをあらためて思い知るだろう。だが、もしマッケイが成功するならば、それは現在のMLBの選手育成方針に革命をもたらすかもしれない。マッケイのように最初から二刀流としてドラフトされる選手が出てくるかもしれないのだ。
 
 
角谷剛

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