菊池雄星、苦手エンゼルス相手にまたも屈辱の降板 大谷翔平に1三振1四球…左打者への配球に課題【雄星リポート第20戦】
シアトル・マリナーズの菊池雄星投手が14日(日本時間15日)、敵地エンゼル・スタジアムでのロサンゼルス・エンゼルス戦に先発。4回まで1失点に抑えながら制球に苦しみ、5回途中、無死から2人の走者を出したところで降板した。試合はエンゼルスが逆転勝ち。菊池に勝敗はつかなかったが、悔しい登板となった。
2019/07/15
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調子上向きも…リードの場面で連続出塁許す
調子は上がってきていた。
菊池は5回を投げ切って少なくとも勝利投手の権利を得る役目を果たすことを目指していたはずだ。
それが5回裏、先頭のダスティン・ガーノウ捕手をフルカウントから四球を許すと、9番マット・タイス内野手に右前安打を浴びて交代を告げられた。
本人からすればもう少し…と思っただろう。
しかし、これまでのエンゼルス戦で集中打を浴び始めると、制球がまとまってしまうのを考えると、致し方ないと言わざるを得ない。おそらく、スコット・サービス監督は試合を一気にひっくり返されるのを恐れたのだろう。
この日、菊池が苦しんだのは左打者への配球だ。
1回に2死を簡単に取りながら大谷に四球を出したのが象徴的だった。ストレートとスライダーをアウトコースの出し入れで組み立てた。インコースにはストレートとしか投げることがないから、そうした配球になってしまうのだが、そうなるとアウトコースの出し入れはよほどギリギリに決めなくといけなくなるから高いコマンド能力が求められる。
もちろん、菊池はインコースにいつ来るかわらないという幅をもたせたいというのはあるだろう。大谷を空振り三振に抑えた2打席目は、インコースに抜けたストレートがいい餌になった。しかし、アウトコースに決めに行ったボールが少し外れてボールと判定されてしまうと、ピッチングが苦しくなってしまう難しさがあるのだ。
次回、菊池はまたエンゼルス戦の登板が予測されている。
この日5回を投げきれなかったから、まだ「対エンゼルス戦」のイメージが首脳陣に良いものには変わっていないだろう。だから次回もナーバスな登板になるのは間違いない。
菊池自らが変えていかないといけない。
今シーズンはもちろん、エンゼルスとの戦いは来年以降も続いていく。いかにして、そのイメージを払拭できるか。今日の屈辱を力に変えて、対左への抑え方のパターンを作っていきたいところだ。
菊池のこれからにとって「大谷翔平」という存在は強敵でありながらいい物差しになるはずだ。後輩との「花巻東対決」を世間には楽しんでもらいつつ、左の強打者をいかに抑えていくかのイメージを大谷との対決でつかむことで浮上のきっかけにしていきたい。