来るとわかっていても打てない。驚異的な奪三振率を誇るジョシュ・ヘイダーのストレートの謎
2019/07/31
Getty Images
数字上は突出していない速球
MLB公式データ解析ツール「Statcast」によれば、ヘイダーの球種は3つ。その内訳はフォーシーム速球が83.6%, スライダーが14.7%、シンカーが1.6%となっている。つまり、殆どがフォーシーム速球、いわゆるストレートだ。
5球に4球以上がストレートなのだから、打者としてはタイミングの予測は容易なはずだ。それなのに、このストレートがめったに打たれない。野球データ解析サイト「Baseball Prospectus」によれば、ヘイダーが投じた球を打者がスイングした場合、空振りする率が43.96%、ファールになる率が40.10%とある。つまり、ヘイダーに対して打者がスイングしても、フェアゾーンにボールが飛ぶ確率は約16%にしかならない。
まさに魔球とも呼べるストレートなのだが、なぜそれほど凄いのかとなると、「Statcast」のデータからでも説明が難しい。ヘイダーのフォーシーム速球の平均球速は95.4マイル(約153.5キロ)。MLBの平均よりはやや速いが、突出しているわけではない。今季トップ50人にも入っていない。
それでは球のキレが抜群なのかと思えば、データからはその反対に見えてしまう。1分間にボールが何回転するかを表す指標(Average Spin Rate)のMLB平均である2284rpmに対し、ヘイダーのそれは2141rpmで平均を下回っているのだ。