来るとわかっていても打てない。驚異的な奪三振率を誇るジョシュ・ヘイダーのストレートの謎
2019/07/31
Getty Images
「地面から浮かび上がってくる」
この現象に注目したニュースサイト『FiveThirtyEight』ではヘイダーを大の苦手とするドジャースのマックス・マンシー(対戦成績5打数0安打4三振)に尋ねている。マンシーはスリークォーター気味に振られるヘイダーの腕の角度が目の錯覚を起こすのだという意味のコメントをしている。
「ヘイダーがボールを放すとき、殆ど脇の下からボールが来ているようだ。高回転(*)の速球がその角度から来ると、まるで地面から浮かび上がってくるように見える。それに97マイルか98マイルのスピード(*)が加わると、バットに捉えるのはとても、とても難しい」
(*は筆者注)
マンシーのコメントはヘイダーの腕の角度については正しいが、(*)をつけた部分についてはデータとは異なる。前述したように、ヘイダーの回転率は平均以下であるし、スピードもマンシーが言うほどには速くない。
しかしながら、マンシーが感じるように「地面から浮かび上がってくるような」ボールが次々と三振を奪っていく。
クローザーとして、ヘイダーのもう一つの際立った特徴は、最終回のみのイニング限定ではなく、複数回数をよく投げることだ。今季これまで登板した38試合のうち、12試合で2回以上を投げている。その代わり、連投は少ない。その結果として、今間までに22セーブ以上を挙げたMLBトップ10人の投手のうち、ヘイダーの登板試合数(38)は最小、イニング数(50回2/3)は最多だ。
ブリュワーズは現在勝率.523でナ・リーグ中地区の3位、ワイルドワード争いでも5位の位置にある。史上まれにみるタイブレークからの大躍進でポストシーズンを沸かした昨季のような興奮が期待されるが、そのカギを握るのはイェリッチの打棒とヘイダーの投球になるだろう。
※数字及び順位は2019年7月29日終了時点
角谷剛