大谷翔平選手をはじめとした日本人メジャーリーガーを中心にメジャーリーグ・日本プロ野球はもちろん、社会人・大学・高校野球まで幅広いカテゴリーの情報を、多角的な視点で発信する野球専門メディアです。世界的に注目されている情報を数多く発信しています。ベースボールチャンネル



“完膚なきまでにやられた”菊池雄星、アストロズに4被弾で8敗目 優位性失う単調さも浮き彫り【雄星リポート第23戦】

 シアトル・マリナーズの菊池雄星が2日(日本時間3日)、敵地のミニッツメード・パークのヒューストン・アストロズ戦に先発。4回を投げ、4本塁打を浴びて6失点でKOされた。菊池は23試合目にして8敗目。リーグ首位を突っ走る2017年王者に完膚なきまでにやられた。

2019/08/03

text By

photo

Getty Images



追い込んでからの投球に見た「三振」への過大イメージ

 この日の菊池を見ていて気になったのは、追い込んでからのピッチングだ。
 2回裏、先制本塁打を許した後、6番のカルロス・コレア内野手を一塁ゴロ。7番のアレドミーズ・ディアス内野手は2球で追い込み、アグレッシブに攻めていた。ところが、ここからボールのスライダーを2つ続けた。追い込んでからのボールのスライダーを投げることは悪くないのだが、二つともボールからボールになる必要のない球種で打者を助けるだけだった。
 
 この投球に、菊池の中に「三振」というイメージが大きすぎるのではないかと思った。
 
 追い込めば三振を取る可能性が広がるのは当たり前のことだが、一方、忘れていけないのはカウント0-2、1-2の場合は投手有利であるという事だ。打者は追い込まれると球種の的が絞れなくなったり、フルスイングができないということになっていくが、カウント0-2なのと2-2なのとでは意識が変わってしまう。0-2から明らかなボールを続けたところで、何の効果もない。
 
 ディアスとの対戦がそうだったように、投手有利が平行カウントになると、結局優位性はなくなるのだ。
 
 そうなると、当然投球が甘くならざるを得ないので、バッターにしっかりスイングされてしまう。追い込んでいる中でもストライク勝負をしていくことで三振を含めた凡打になるが、三振を狙いに行こうと低めを意識しすぎていくあまりに自らを苦しめているのだ。
 
 マリズニックに浴びた本塁打も、カウント1-2と追い込みながら三振を狙いに行ったストレートが1球はずれ、次に投げた力もコントロールもないストレートを簡単に運ばれた。
 
「打たせて取る」というと、いかにも技巧っぽく投げろと指摘しているように聞こえるが、そうではなく、フルイングができないときにどう勝負していくかのイメージを膨らませるかが大事ではないか。「詰まらせる」「泳がせる」「空振りを取らせる」とあるが、菊池の場合は一つしかないように見えるのだ。
 
 6番のコレアは理想的に抑えられていた。1打席目はカウント1-2からインコースにスライダーを投げ込み、中途半端なスイングをさせて一塁ゴロ。2打席目も同じように追い込んでから真ん中のストレートで押し切って二飛に封じている。
 
 過去2試合はストライクゾーン勝負で活路を見出していたことはリポートで書いた。
 
 そのスタイルは良い方向に進んでいるが、あと一歩の課題として、カウントの優位性をいかに生かして勝負できるかだろう。
 
 両チームの順位がかけ離れている中で、フルスロットルのアストロズ打線は脅威だったに違いない。だからこそ、反省点として課題を見つけられたはずだ。この大敗をいかに生かすか。菊池にとっての試練は大きな壁を乗り越えるために立ちはだかっているだ。

1 2


error: Content is protected !!