エンゼルス・大谷翔平、“奪われたフルスイング”。相手バッテリーより厄介な「見えない戦い」
ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手がもがき苦しんでいる。多くの指標はMLB全体上位を占めるのに対し、本塁打はシーズン後半に入って1本のみ。背景に見え隠れするのは、自身が信じるものと他人が見る世界との「違い」。コメントからもその苦悩する心情が見受けられた。
2019/08/13
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「シンプルな思考」と「判定」のギャップ
大谷翔平選手(ロサンゼルス・エンゼルス)の状態をどう評価したら良いのだろうか。後半戦に入り本塁打は1本。それでも、8月11日(日本時間12日)の試合を終えて、打率は.290、OPSも.860と数字の上では昨年と大きく変わるものではない。
米公式サイト『MLB.com』が提供するデータ『Baseball Savant』によると、大谷の打球の初速平均93.1マイル(149.8キロ)はMLB全体で6位。打球に角度がつかないと言われながらもバレルゾーン(本塁打になりやすい、打球速度と打球角度を組み合わせた指標)への打球率も8.9%と29位。他のスタッツを見ても、MLB全体で上位10~15%に入る数値を並べており、不調を裏づけるものはない。
打撃が好調だった6月末、大谷は「(もっとも心がけていることは)ストライクゾーンをしっかり振るということ。一番大事なところで一番できないことなんで、そこを大事にしたい」(現地6月28日試合後)と実にシンプルな回答を残している。
この理屈に従えば、数字が伸び悩んでいる7月以降、そのシンプルな実践ができていないということだ。ストライクゾーンのボールをしっかりと振れていない原因のひとつに審判のジャッジとのかみ合わせがあるのではないだろうか。完封負けを喫した、現地6月29日のオークランド・アスレチックス戦後に「(厳しいボールが)ストライクとなるかボールとなるかで違ってくる。審判とかみ合わなかった」と述べた。